福島県立大野病院の産科医の逮捕劇により、日本では臨床をやっている医師なら、自らが犯罪者になる可能性が誰にでもあるということになった。日本という社会では、勧善懲悪で、医療事故・過誤は悪人が起こすものであり、悪人を留置場・刑務所に放り込み、医師免許をはく奪すれば万事解決と、警察・検察・裁判所・メディア・一般国民は思っているのだろうか。
今週のJAMA(JAMA.2006;296:1071-1078. )によれば、米国でも1999年のInstitute of Medicneの「医療過誤による死者10万人」という発表以降、社会的な関心が高まっているようである。
入院患者での医療過誤の比率は5~10%、最近では50%とする著作物もある。今まで、過誤を起こす側の医師の比率に関する報告は少ないそうで、しかも横断的自己報告ばかりである。その報告では、内科レジデントの45%あるいは47%は、トレーニング中に医療過誤の経験があるという。メディカルマネージメント側から合併症、外傷、有害性と指摘された医療過誤に関しては、それぞれ内科レジデントの18%、23%、3分の1が少なくとも1回の経験はありという報告。