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血液サラサラ・ドロドロに疑問!

2006/08/31

 昨日(8月30日午後8時放送)のNHKの「ためしてガッテン」で、“血液サラサラ・ドロドロ”はNHKの同番組が発端と自認していた。この“血液サラサラ・ドロドロ”に関しては、懐疑的に私のBlogでも取り上げてきたのだが、その起源は、「あるある大事典」辺りだろうと思っていた。NHKだったとは…。

 番組自体は、手指から採取した血液を塗布した標本を顕微鏡で観察させ、それを“血液ドロドロ”と称して、サギ商売をすることを批判していたため、民放各局の健康バライティー番組よりはるかに良心的な内容だった。

 しかしながら、気になることも多かった。以前、この番組で、NHKはサラサラの定義を凝固亢進と明示して放映していたのを見たことがあるが、どうも趣旨替えしたようである。

 昨日の放送では、血液サラサラ・ドロドロの定義として、「本当のドロドロ度とは、“赤血球の持つ本来の柔らかさが失われること”」と述べている。そのほか、「赤血球同士がくっつきやすくなって」と粘着性や、赤血球の“連銭形成”の説明をしていた。そして、血小板やTMなどの血漿成分についても言及していた。

 血液サラサラ・ドロドロ度を、結局、「Red Blood Cell Deformalility」と定義変更したようだが、これは、従来から「filtration technique」と呼ばれ、単に細いチューブを通したときの赤血球流速を測定す方法で、赤血球だけを生体外で測定していたものと同じである。

 “ずり応力”、つまりShear Stress(粘性を持つ流体の流れに伴って、流体内部に生ずる内部摩擦)などを含む概念が以前から取り上げられ、臨床的に検討されていると思う(図)

 繰り返すが、血液サラサラは、赤血球の要素だけを取り出したものであり、本来の“Shear stress”とは異なるもの、あるいはその現象の一部を示しただけにすぎず、病因や病気の増悪因子として、決定的なものであるという臨床的エビデンスは稀薄である(by-standerの証拠は上がっているのだろうが……)。

 

血液の流れやすさあるいは流れにくさを表す表現として、「サラサラ」「ドロドロ」という言葉がよく使われる。しかしこれらの言葉は、その状態を感覚的にとらえるとしても、そのとらえ方には個人差があり、血液の流れの状態を科学的に表現する言葉としては適当ではない。(貝原真.血液粘度の測定法.日本医事新報.2005;4223:90-91)

著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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