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夏バテ?熱中症?それとも…

2006/08/04

 「高温環境障害」、「暑熱障害」の項目は、「Wikipedia」では「hyperthermia」のところに記載されている熱中症に関しては、重症度なのか、病型分類なのかが不明な記載や、「運動性」 を「努力性」と明らかな誤訳をしているなど、「おやっと」思うことの多い分野である(暑い日が続きますが)。

 日本では、「夏バテ」という病名が存在するらしく、「慢性熱中症は熱衰弱症ともいい、高温環境の職場で、暑さのストレスの持続による生理的な衰弱が原因で発症する」(臨床内科から引用)病気があるとのこと。混乱を深める病名である。

 熱波(heat-wave)については明確な定義が存在しないらしい。ただ、「日最高気温が35℃を超す日が、5日以上連続する現象」とするものもあり、NWS(National Weather Service)のheat stressクライテリアに基づく定義、2日連続・日中高温・夜間低温の指数(Hi)閾値を超えるものとする定義、大気音と湿度の組み合わせで身体的ストレス推定による指標なども存在する。これは世界中どこでも適応できるわけではなく、一般化できる指標というのは簡単には出現しない。

 一応、下記の2つの指標が高温・熱暑危険性に関して有用とのこと
Heat Index chart(National Weather Service)
・Wet Bulb Globe Temperature Index(U.S. Armed Forces)
http://hsc.usf.edu/~tbernard/HollowHills/WBGTInstr10.pdf
 後述のものは軍隊のもので、おなじみWBGT…日本の熱中症予防情報に使われている。

 Medscapeでは、近ごろCDC・MMWRにて、男性・心血管疾患患者において、「heat-related death」のリスク増大とされている。

 

1999-2003年の死亡統計にて、“hyperthermia”による超過死亡、米国内では54%、3442人(年平均688人)と推定。男性で2倍多く、15~64歳で比率が多く(54%)、次に65歳(40%)、15歳未満 (7%)との比率。心血管疾患が死亡原因として最も多く(57%)、アクシデント的な中毒・暴行(29%)、内分泌、栄養、代謝疾患など(3%)。

 戸外の激しい運動、不適切な水分量摂取、アルコール過飲を避けること、薄着、エアコン使用などを呼びかけている。特に、高リスクの乳幼児、高齢者、心血管疾患などの疾患を持つものに対して特に注意を。CDCは、戸外にかかわらず、車や車以外の鍵のかかるスペースに子供を置き去りにすることを戒めている。


著者プロフィール

牧瀬洋一(牧瀬内科クリニック院長)●まきせ よういち氏。1984年鹿児島大卒後、同大第一内科入局。大隅鹿屋病院などを経て、95年牧瀬内科クリニック(鹿児島県大崎町)開業。98年に有床診化(19床)。

連載の紹介

牧瀬洋一の「内科開業医のお勉強日記」
内科開業医として、呼吸器を中心に地域の患者を幅広く診察している牧瀬氏。JAMA、Lancet、NEJM、BMJをはじめ、主要論文誌をインターネットで読むのが日課。興味を引かれた論文を、牧瀬氏が紹介します。

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