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国際貢献へ飛び出すレジデントたち

2010/09/29
堀越裕歩

 数年前、アメリカ小児科学会議(Pediatric Academic Societies;PAS)の国際保健プログラムにおけるワークショップ冒頭の挨拶で、次のようなジョークを口にした人がいました。

 「幸運にもブッシュ大統領のおかげで国際保健の分野は追い風にある。今こそプログラムを整備し、予算を獲得するチャンスです」。会場から、どっと笑いが起こりました。

 当時のアメリカの対外政策は、イラク戦争の絡みもあって、海外諸国から嫌われる傾向にありました。それを受けて、アメリカの医療関係者の間では、悪評を少しでも挽回しようと国際貢献の機運が高まっていました。

研修ローテーションの選択肢に海外も
 そもそも北米では医学部に入る時点でボランティアや社会奉仕の経験が評価されるため、国際貢献への熱意は日本に比べて概して高いものがあります。したがって、レジデントを獲得する側としても、より優秀な人に興味を持ってもらうため、予算を投じて彼らのニーズにマッチした臨床研修プログラムを作ろうとしています。

 北米の臨床研修プログラムでは、選択ローテーション制が取られています。この選択期間は、プログラムによって多少のバリエーションがあります。選択ローテーション期間中に、国際保健の講義を集中的に行うプログラムもあります。また、レジデントをしながら公衆衛生の修士(Master of Public Health;MPH)を取得できるプログラムもあります。国際保健のMPHを取得できるプログラムも多数あります。選択ローテーション期間にあっては、各人が自分のキャリアプランに合わせて、比較的自由に研修先を選ぶことが可能です。このときに、国際保健に興味があるレジデントは、主に開発途上国に出て研修することもできるようになっています。

 ただし、レジデントはフェローと違って医師としての経験が浅いので、独立した診療をすることがなかなか難しいという問題があります。カナダでは通常、小児科であれば卒後4年目で小児科専門医を受験することになり、それに合格すると独立した診療が認められます。それまでは、原則としてアルバイト当直などもできません。

著者プロフィール

堀越 裕歩

トロント小児病院 小児科感染症部門・クリニカルフェロー

2001年昭和大学医学部卒業。沖縄県立中部病院(インターン、小児科レジデント)、カンボジアの小児病院で医療ボランティア、国立成育医療センターの総合診療部等を経て、2008年7月より現職。東南アジアにおける小児国際医療協力・研究、新潟県中越地震の際の緊急支援などに従事。趣味は、スノーボード、野球とサッカー観戦。トロントでもフットサルで活躍中。

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