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「一般小児医」というプライド

2010/03/04
堀越裕歩

レジデンシー卒業式にて、国立成育医療センター初代総合診療部長・高山ジョン一郎先生から花を頂く筆者(左)。高山先生は、日本の小児総合診療部門の礎を築いた方だといえるでしょう。

 日本で「小児科医」というと、開業の小児科や市中病院の小児科で、幅広く一般的な小児科疾患の診断・治療を行なう、身近で頼れる「子どものお医者さん」というイメージがあるのではないでしょうか。多くの場合、特定分野のみを扱い、どちらかというと大学病院や専門病院などで診療を行なう「専門医」とは対極のイメージかもしれません。

小児専門病院における総合診療部門の役割
 ところが最近、小児専門病院の中に総合診療部門を新設するケースが、日本でも増えてきました。何を隠そう、私がカナダ留学前に所属していたのも国立成育医療センターの総合診療部で、前身の国立小児病院にはなかった部門です。大規模な人員と予算を割いて小児専門病院に総合診療部門が設立されたのは、おそらく、日本で初めてだったでしょう。専門診療科をすべて合わせたスタッフ数と同程度の人員を配置し、病院の中核として位置付けたのです。なぜこのような新設科を作ることになったのでしょうか。

 それは、成人内科と同様に、臓器別に特化した専門医だけでなく、全身を診ることのできる総合診療医の需要が増してきているからです。医療の進歩に伴い、従来は救命できなかった病や複合的な問題を抱える児を診ることが増えてきているのです。

 例えば、精神運動発達遅滞、痙攣性疾患、上気道閉塞による気管切開、胃ろうによる栄養管理など複数のケアを必要とする児の場合、発達や痙攣は神経科、気管切開や胃ろうは耳鼻科や外科で対応しますが、続発してくる下気道感染の管理や栄養の問題がどの科の領域になるかは明確でありません。

 気道だから呼吸器科、栄養だから消化器科といっても、小児の呼吸器科医や消化器科医は極めて少なく、このような児の下気道感染や栄養管理を一手に引き受けることは現実的に難しいものがあります。そのため実際には、臓器別に問題の大きさを比較して最も比重を占める専門科がプライマリーとなり、全身管理を担ってきました。

著者プロフィール

堀越 裕歩

トロント小児病院 小児科感染症部門・クリニカルフェロー

2001年昭和大学医学部卒業。沖縄県立中部病院(インターン、小児科レジデント)、カンボジアの小児病院で医療ボランティア、国立成育医療センターの総合診療部等を経て、2008年7月より現職。東南アジアにおける小児国際医療協力・研究、新潟県中越地震の際の緊急支援などに従事。趣味は、スノーボード、野球とサッカー観戦。トロントでもフットサルで活躍中。

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