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専門を選ぶときの4つの要素
なぜ、成績の良い学生はスペシャリストを目指すのか?(後編)
(2011.2.11、2011.2.17訂正)

2011/02/07
高橋孝志

表 各専門科のマッチング合格者におけるUSMLE STEP1の点数(中央値) National Resident Matching Program (NRMP)の2007年データより、米国内メディカルスクール卒業生の集計結果を掲載。

 前回示した表を再び見てみましょう。このデータを見て、選択された専門科と科別の平均点の関係について、何か分かることがあるでしょうか? 何らかの傾向が見出せたとして、そこにはinterestやqualificationのほかにlife styleやcompensation(給与)という要素が影響しているでしょうか?

transitional yearを境にグループが二分
 まず目が行くのは、7位と8位の間で平均点の差が11点もあることです。境界線のような位置にある7位のtransitional yearとは何でしょうか? 日本語に直訳すると「移行期間」となりますが、これは特に決まった専門科を指すわけではありません。メディカルスクールを卒業して最初の1年目の特別な研修プログラムのことです。

 アメリカでは「インターン」という言葉は研修1年目の身分を指し、それ以降は「レジデント」と呼ばれるようになります。ただし、この呼び方では「レジデント1年目」が「研修2年目」であることが分かりにくいため、これらに代わってpost graduate year(PGY)という言葉が普及し始めています。研修1年目の身分はPGY-1、2年目はPGY-2というように呼ばれます。

 内科や外科では、研修開始の時点からそれぞれの科でPGY-1トレーニングを行うのですが、その他の科では、PGY-1において自分の専門とは別のトレーニングが必要になる科があります。実は、表の上位6つの科は、すべて「別のトレーニングが必要な科」なのです。

 例えば皮膚科なら、実際に皮膚科での研修が始まるのはPGY-2からで、PGY-1のうちは内科か外科、あるいはtransitional yearのいずれかの研修をしなくてはなりません(4年生のマッチング時に、PGY-1の科と同時にPGY-2の科を選択します)。transitional yearはスーパーローテーション方式なので、内科や外科に限らず、精神科や産婦人科、小児科などの様々な科を回ることができ、なおかつ内科や外科でのPGY-1に比べて比較的楽であることが多いという理由から、特定の専門科ではないにもかかわらず競争率が高くなっています。

 年度によって多少の違いはありますが、STEP1の平均点はだいたい215点前後、標準偏差(SD)は20点前後です。平均点からほぼ+1SDの230点、これが一つの区切りと考えられます。前掲の表を見ると、transitional yearを境に「1位の形成外科から6位の整形外科」と「8位の一般内科および一般外科から18位の精神科」の2つのグループに大別できます。そして、この2つのグループ間の得点の中央値には10点以上の差があります。これらのグループは、競争率が高いグループとそれほど高くないグループにずばり相当しているのです。

著者プロフィール

高橋 孝志

ミネソタ大学放射線科研修医

ワシントン州ワシントン大学で電気工学科学士および修士を取得。2008年にウィスコンシン医科大学を卒業後、ミネソタ州Hennepin County MedicalCenterにて、スーパーローテーション方式である Transitional Yearインターンとして勤務。2009年7月より現職。

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