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アメリカのコメディカルはここまでやっている!

2010/01/25
河合達郎

 前回取り上げた、アメリカにおけるマネジドケア(2009.11.27「マネジドケアで医師の裁量は尊重されるか」の続きをお話します。マネジドケアでは出来高払いではなく定額支払いとなるため、入院期間を可能な限り短くすることがポイントになることは既に述べました。
        
 入院期間をできるだけ短くするためには診療の機動性・迅速性が重要ですが、アメリカで働き始めた当初はそのスピードに度肝を抜かれました。朝の回診時に入院患者のオーダーを出すのは日本と同じですが、CT・MRI・内視鏡検査などのすべてのオーダーは、血液検査の結果を出すがごとく当日中に完了します。画像診断だけでなく、インターベンショナルラジオロジー[注]のような高度で複雑な治療も、その日のうちに完了します。

 日本の大学病院では、特別に「緊急」というかたちでオーダーしない限り、入院患者でさえ1週間、へたをすると1カ月もかかったものです(今では少しは改善されたのでしょうか)。先端機器の性能は、日本の方が進んでいるぐらいですから、日米の違いは、単純にマンパワーの違いであると言えるでしょう。日本で必要なのは医療のスピードについての意識改革です。

マンパワー、日米比較
 オーダーに対応する放射線科だけでなく、病院全体のマンパワーも、アメリカと日本では比較の対象になりません。

 日本では午後5時以降は病棟事務が不在でしたから、夜間の入院が決まると、研修医が外来に走って外来カルテを見付けなければならず、ナースもベッドメーキングやカルテ作りなどでてんてこ舞いでした。一方、アメリカでは病棟事務は24時間、交代制で各病棟に張り付いています。そのため、夜中でも各病棟の事務がカルテをそろえ、ベッドメーキングや掃除なども専門の職員が行なっています。



[注]インターベンショナルラジオロジー(interventional radiology;IVR):放射線透視下に患部にカテーテルなどを挿入して行なう非外科的な治療の総称。

著者プロフィール

河合 達郎

マサチューセッツ総合病院移植外科/ハーバード大学医学部外科教授

1981 年に日本大学医学部を卒業後、外科と臓器不全治療そして免疫学が交錯する移植外科に惹かれ、腎移植と透析医療のパイオニアであった太田和夫教授が主宰する東京女子医科大学腎臓病総合医療センター外科に入局する。91年にマサチューセッツ総合病院(MGH)移植外科にリサーチフェローとして留学し、A. B. Cosimi、David Sachs 両教授の下で3年間、移植免疫の研究に従事。94年に帰国、96年に東京女子医大第3外科准教授。97年に移植臓器の免疫寛容誘導を臨床で実現するために再渡米。アメリカ医師免許取得後、MGHの臨床スタッフとなり、2002年から臨床腎移植での免疫寛容誘導のための治験を開始した。薬のいらない臓器移植(免疫寛容)を標準的な治療とすることをライフワークとしている。08年にハーバード大学准教授、12年にMGH移植外科A. B. Cosimi Endowed Chair、15年より現職。 趣味は柔道(4段)。

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