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勃発!アメリカ史上最大の看護師ストライキ

2010/07/14
日比野誠恵

 何ということでしょう! 2010年6月10日、わがミネソタ州で2002年以来の看護師ストライキが決行されました。今回のものは、看護師ストライキとしてアメリカ史上最大規模だそうです。

 ツインシティー(ミネアポリスおよびセントポール)都市圏にある14病院の看護師、約1万2000人が丸1日、医療機関からいなくなり、病院側は他州から臨時雇用の看護師を手配してしのぐという事態に至りました。日本でも毎年春闘が繰り広げられていますが、看護師のストライキというのは、あまり聞いたことがありません。

 本連載のテーマである「ワークライフバランス」ともかなり密接に関係するニュースですから、今回はこのストライキに焦点を当ててみたいと思います。

リベラルな気風を持つミネソタ州
 ミネソタ州は北米大陸の中央上部、いわゆる中西部あるいは北西部に位置しており、政治的にリベラルな気風で知られています(ただし最近は、過激な保守的言動で全米を騒がせるミシェル・バークマンという下院議員が選出されたこともあり、保守化の傾向が感じられます)。

 歴史的にドイツや北欧系の移民が多く、教育水準が高いことでも知られており、医療の分野でも多くの画期的な発見・発展を成し遂げてきました。ミネソタ大学以外にも、世界的に有名なメイヨークリニック、ペースメーカーの製造で知られるメドトロニック社、人工弁を製造するセント・ジュード・メディカル社などを擁しています。こうした背景があるため、当地で日々の臨床に従事するわれわれ医療者は、人材や機器を含む医療リソースがアメリカの中でも随分と恵まれていることを日々実感しています。

 リベラルな州ということで、医療や社会福祉に関しても進歩的な考えが根付いています。労働組合も比較的強いようで、ランチョンミート缶詰のスパム(SPAM)で有名なホーメルフーズ社におけるストライキが思い浮かびます。「1980年代の最大のストライキ」と言われ、1990年にアカデミー賞のドキュメンタリー最優秀賞を受賞した映画「American Dream」(1990年)にもなりました。

 1980年代前半の不景気を背景として1984年にホーメルフーズ社が23%の給料カットを行ったところ、1985年にストライキが始まりました。6カ月後には代替雇用された労働者を守るために州知事が軍(コーストガード)の出動を要請したりホーメルフーズ製品の全米規模のボイコットに発展したりと、10カ月もの間騒動が続きました。最終的に、ストライキに参加した労働者のほとんどは職場復帰できず、新しい労働者が低賃金で雇われたという結末に終わったのです。

 なお、ミネソタ看護師協会は過去20年で2度のストライキを打っており、今回が3度目となります。

著者プロフィール

日比野 誠恵

ミネソタ大学ミネソタ大学病院救急医学部准教授

1986年北里大学医学部卒。横須賀米海軍病院、セントジュウド小児研究病院、ピッツバーグ大学病院、ミネソタ大学病院を経て、1997年より現職。趣味はホッケー、ダンス、旅行など。

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