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ヒラの医局員が教授選の選考委員になってみた

2014/07/25
岡野龍介

模擬手術室。麻酔科レジデント3人が交代で、麻酔科医、外科医、患者の役を演じながら、半日で3つのシナリオをこなします。麻酔導入後の患者はマネキンを用いるので、患者役をしていたレジデントは麻酔の補助に当たります。

 インディアナ大学医学部には、アメリカ最大規模の臨床シミュレーションセンターがあります。2009年に竣工し、手術室や救急外来、一般病棟、ICU、薬剤部、一般外来など、様々な病院の機能を模した訓練設備が建物のワンフロア全体に配置されており、医学生や看護学生、救急隊員などのトレーニングに用いられています。

 このシミュレーションセンターを最も頻繁に利用している科の一つが私たち麻酔科です。その麻酔科が、麻酔シミュレーションセンター長兼麻酔科副主任教授を新たにリクルートすることになり、選考委員を募集していました。私は麻酔シミュレーションの指導教官の一人でもあることから、あまり深く考えずに手を挙げてみました。すると、ヒラの医局員でありながら、あっさりと麻酔科主任教授を筆頭とする7人の選考委員の1人に選ばれました。

 私の知っている日本の大学の教授選と言えば、どこか知らぬところで根回しが進み、教授会で選挙が行われ、医局の大半の人間の意志とは無関係に決まるもの(あくまで印象ですが)。今回の選考過程で何よりも印象的だったのは、教授であってもセンター長であっても、「自分たちの組織のリーダーは自分たちが選ぶ」というポリシーの徹底でした。

 まず、アメリカ国内を中心に、海外にも公募をかける一方、過去の業績などから、ぜひ自分たちのリーダーになってほしい有望な人物には、応募してもらうよう個別に働きかけました。数カ月たって、6人の応募がありました。集まったpersonal statementや履歴書、業績を7人の選考委員が個別に審査して結果を持ち寄り、候補者を最終的に2人まで絞り込みました。その2人をそれぞれ面接に呼び、選考委員全員が取り囲んで質問攻めにすることになります。まずは1人目の候補者の面接日程が決まりました。

面接スキルは皆無のヒラ医局員
 いざ面接と言っても、私自身の面接の経験は日本での大学入試、アメリカでのレジデンシーやフェローシップでの採用および就職面接ぐらいです。現代の企業における採用面接の厳しさも全く知りませんし、面接スキルを系統的に学んだこともない素人です。採用側としては、アメリカでレジデントの面接にかかわったことはありますが、形式張らない雑談程度のものでした。日本語でも緊張しそうな局面を英語で、上司になるかもしれない相手に、私は何を質問し、何を評価したらいいのでしょう。

著者プロフィール

岡野 龍介

インディアナ大学病院麻酔科アシスタント・プロフェッサー

1962年ニューヨーク生まれ。1988年産業医科大学卒。1993年に新日鉄広畑病院で麻酔科を設立、手術室・ペインクリニック・救急部の設計に携わる。10年間勤務の後、渡米。2003年インディアナ大学病院麻酔科レジデント、2007年シンシナティ大学病院ペインフェローを経て、2008年より現職。米国麻酔専門医。趣味はサイクリング、料理、日曜大工、映画鑑賞など。

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