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利き酒ならぬ「利き脈」で患者を“味わう”

2014/04/24
本橋京子

上海の中心部にある住宅街の一角に咲いた桜の花。

 前回の原稿を書いてから、あっという間に10カ月も経ってしまいました。折しも季節は春。ここ上海でも、暖かな日差しに誘われるように桜が咲き始めました(写真)。桜の花を見ると心がワクワクして、何かを表現したい“遺伝子”のスイッチが入るのは、私が日本人だからでしょうか? 皆さんに上海から春のお便りを届けたくなり、パソコンへ向かうことになりました。今回は「脈診」に関してのお話です。

脈診で何を診る?
 脈診は中国伝統医学の診断法である切診の代表的なものです。切診とは中医四診法、すなわち「望」「聞」「問」「切」のうちの一つになります。「望」とは見ること、つまり視覚による診断です。「聞」には臭いをかぐこと、音を聴くことの2つの含意があります。「問」は問診、「切」は触診です。中国ではほとんど見られないけれども日本漢方では必ず行う腹部の触診(腹診)も、この「切診」に分類されます。

 「脈を診る」というのは、脈の鼓動を感じながら五臓六腑の状態を再現するイメージです。言ってみれば、「内臓スキャン」のような感じに近いでしょうか。脈診では脈の速さやリズムに加え、脈の性質も診ていきます。主に橈骨動脈で行いますが、この部位は「太淵(たいえん)」という経穴のある位置に当たります。手太陰肺経図1)の原穴()です。

著者プロフィール

本橋 京子

ラッフルズジャパニーズクリニック(心療内科/漢方外来)勤務医
東京女子医科大学附属東洋医学研究所非常勤講師

1995年東京女子医科大学卒。同大神経精神科で臨床研修後、筑波病院内科、みやざきホスピタル精神科を経て、中国伝統医学を学ぶため2001年に北京へ。02?09年、中国政府奨学金留学生として北京中医薬大学大学院へ国費留学。06年中西医結合内科学修士号取得。修士論文のテーマ『冠元顆粒の認知症BPSD改善作用に関する研究』でイスクラ漢方奨励賞(第30回)受賞。10年中医学博士号取得。同年10月よりマレーシア・ペナン島の中医診療所で診療を行うかたわら、みやざきホスピタルで精神科と漢方診療を行う。12年4月より現職。現在は、シンガポールと上海のクリニックを毎月往来している。趣味は、中国の歴史や王朝物のドラマ鑑賞、形意拳。

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