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「薬剤師がなぜここに?」から医師の信頼を得るまで

2011/04/15
前田幹広

外科集中治療室専門薬剤師のシャロン・ウィルソン先生と。メリーランド大学医療センターpharmacy residencyのバンケットにて。

 薬剤師レジデントは多くの場合、コードブルーチームやラピッドレスポンスチームに参加することになります。特に集中治療分野で学ぶ薬剤師レジデントはなおさらです。ラピッドレスポンスチームは、患者状態の悪化時に、トレーニングを受けた医師、看護師、薬剤師、呼吸療法士などが駆け付け、処置を行うチームです。つまり、患者がコードブルーに至るのを防ぐために活動しますが、残念ながら、コードブルーに移行することもたびたびありました。

混注時、手の震えが止まらず…
 私がPGY1(post-graduate year 1)の薬剤師レジデントだった頃、テンプル大学病院ではコードブルーチームとラピッドレスポンスチームに年間で10週程度参加することを求められました。これに参加する薬剤師は、医師や看護師と同様に二次心肺蘇生法(advanced cardiovascular life support:ACLS)の認定を取得しておく必要があります。

 テンプル大学病院において、コードブルー発生時の薬剤師の主な役割には、(1)薬物情報を提供する(薬物中毒などを検討する)、(2)薬物投与や患者状態(心室細動など)の記録を付ける、(3)薬剤を混注する――の3つがありました。コードが発生した場合、薬剤師は2人体制で事に当たり、1人が薬剤の混注、もう1人が記録付けを行います。

 PGY1の薬剤師レジデントも、最初の数カ月間の研修を経てやがて独り立ちしていくわけですが、当初は指示されることをこなすだけで精一杯です。とにかくエピネフリン(強心薬)とアトロピン(副交感神経抑制・遮断薬)を間違えずに渡すように心がけました。アミオダロン(抗不整脈薬)などを混注するときは手が震えて、我ながら「医師や看護師がやった方が早いのではないか」と思うほどでした。混注は指示されてから混ぜ始めていたし、患者状態を把握する余裕など全くありませんでした。

1分1秒でも早く投与するため、無駄を考えずに準備する
 メリーランド大学医療センターで過ごしたPGY2では、集中治療専門薬剤師レジデントとして、PGY1時代に輪をかけて冷静な対応が求められました。指導薬剤師は全員が集中治療専門だったので、コードブルー発生時の薬剤師の動き方をたたき込んでいただきました。

 特に印象に残った教えは、患者の状況に応じ、使用するであろう薬剤をあらかじめ混注しておくということです。例えば、心室細動であればアミオダロンを投与する確率が高いので、1分1秒でも早く投与するため、使わなかったときの無駄は考えずに準備しておくことが必要だと教えられました。

 シリンジに急速静注用のアミオダロンを準備し、さらにアミオダロン持続静注を調剤するよう薬剤部に電話でお願いしておきます(アミオダロンはポリ塩化ビニルに吸着するので、特殊な容器に入ったものが薬剤部に保管してあります)。そうすることで、実際に指示されたときには、準備完了したアミオダロンをすぐに投与できるわけです。

著者プロフィール

前田 幹広

メリーランド大学医療センター・集中治療専門薬剤師レジデント

2002年東京理科大学薬学部卒業。2008年ノバ サウスイースタン大学薬学部International Pharm.D.課程修了。テンプル大学病院(臨床薬学一般レジデント)勤務を経て、2009年より現職。趣味はスキー、音楽鑑賞、旅行。

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