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薬剤師レジデンシーを修了しないと病院で働けない?

2010/07/09
前田幹広

 もともと臨床薬剤師としての経験を積むために渡米した私でしたが、実習を通して学べば学ぶほど、「臨床薬剤師への道は遠い」と感じてしまいました。臨床薬剤師として仕事をしていくことに対して全く自信が持てなかったのです。

 アメリカで臨床薬剤師になるためには、多くの場合、卒後研修であるレジデンシープログラムを修了することが求められます。慶應義塾大学(当時は共立薬科大学)名誉教授の菅家甫子先生(前回記事参照)が私に対しておっしゃった「渡米するなら、レジデンシープログラムを修了してから帰国する方がいい」という言葉が、ずしりとした実感を伴って迫ってきました。自信がないからといってレジデンシープログラムに進まず帰国するのは、当初の目的からすればいかにも中途半端です。私は志を新たにして出願を決意しました。

臨床薬剤師への登竜門
 薬剤師レジデンシーは、現在では志願者数が募集人数を上回っていることが多く、特に志願者が集まる大学病院では熾烈な争いとなっています(3人の募集枠に100人が応募したとかいう話も聞きました)。今年になると特に不景気の影響が色濃く表れて、「レジデンシーを修了しないと病院で働けないのではないか?」という危惧から、レジデンシーへの応募者がますます増えることになりました。

 1年目のレジデンシー(post-graduate year 1;PGY1)は薬学一般を学ぶもので、専攻はありません。「内科学」「集中治療学」「感染症学」「外来」などの分野を1カ月ごとに学んでいきます。

 一方、2年目のレジデンシー(post-graduate year 2;PGY2)では、専攻を選択して突き詰めていくことになります。2010年現在、全米のPGY2で最も多くを占める専攻は「集中治療学」で、次いで「腫瘍学」「外来」「感染症学」と続き、最も募集の少ない「栄養学」に至るまで約20の専攻が存在しています(注)。


*注 2010年現在、PGY2の専攻には次のようなものがあります(本文に挙げたもの以外)。「薬局管理学」「小児学」「循環器学」「薬物情報学」「救急救命学」「老人学」「HIV」「医薬品安全学」「核薬学」「疼痛緩和学」「薬物治療学」「移植学」。

著者プロフィール

前田 幹広

メリーランド大学医療センター・集中治療専門薬剤師レジデント

2002年東京理科大学薬学部卒業。2008年ノバ サウスイースタン大学薬学部International Pharm.D.課程修了。テンプル大学病院(臨床薬学一般レジデント)勤務を経て、2009年より現職。趣味はスキー、音楽鑑賞、旅行。

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