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プレゼンが得意ではないからこそ…

2012/03/16
岩澤真紀子

表1 Pharm.D.課程クラークシップにおけるプレゼンテーションの評価ポイント

 ここ数年、日本の大学や学会で講演する機会に何度か恵まれました。私は、日本に帰国するときには時間を見つけてできるだけ学会や勉強会に参加するなどして、日本の薬剤師を取り巻く現状や医療の動向を勉強するよう心がけています。皆さんの前でプレゼンテーションすることもあるのですが、その際に私がどのようなことに気をつけているか、ご紹介してみたいと思います。

聞き手の気持ちを動かすにはどうしたら…
 以前、市瀬史先生が「分かりやすいプレゼンの7つの鉄則(2010.8.23)」というKUROFUNetの記事の中で、プレゼンテーションの準備から発表の仕方までについてアドバイスをされていました。私自身は、日本語であれ英語であれ、プレゼンテーションが得意とは言えません。今までの講演でも、早口であったり、情報量が多すぎたり、発表時間を延長してしまったりなど、失敗した経験は数知れません。

 しかし、苦手だからといって失敗したことをそのままにしていたら、講演を聞きに来てくれる人たちに申しわけありません。ですから、講演前は必ず事前練習を行い、講演を終えた後は頂いたアンケートの感想や自らの反省点を次の機会に生かせるよう努力しています。話し方やスライドの作り方といったことに関する具体的なテクニックは、プレゼンテーションのうまい人の講演を聞いたり、参考書を読んだりして、自分なりに勉強しています。
 
 Pharm.D.課程の最終学年では、「クラークシップ」と呼ばれる実務実習を1年間行います。このクラークシップでは、実務のほかに与えられた課題のプレゼンテーションが成績評価の対象になることが多く、プレゼンテーションスキルがとても鍛えられました。プレゼンテーション評価ポイント(表1)の項目全てが5段階で評価され、スライドの内容が良くても発表の仕方がうまくなければ高い評価はもらえませんでした。今でもこれらの評価ポイントに気をつけながら、プレゼンテーションの準備と練習をするようにしています。

「どうせ、アメリカのお話」で終わらないために
 私は日本とアメリカの両国で薬学の教育と臨床の経験を積んだ者として、日米の比較を行い、それぞれの国の薬剤師の業務に結び付けて分かりやすく伝えられるのではないかと思っています。ただ、そのためには聞き手や読み手が内容に集中できるよう、工夫しなければなりません。

 特に細心の注意を払うのが、プレゼンテーションでの語りやスライドで用いる用語。アメリカの薬学事情を日本に向けて情報発信する際は、英語やカタカナをなるべく用いないことを心がけています。

 アメリカで働いていると、英語で内容を理解していても日本語で何と表現するのか分からない、そのため日本語で話すときについつい英語を挟んでしまうということがあります。しかし、それでは多くの場合、聞き手は知らない言葉を理解しようとするために思考が止まってしまい、話の内容に集中できません。

著者プロフィール

岩澤 真紀子

聖ジョセフ病院ソノマ郡薬剤部/米国薬物療法認定専門薬剤師(BCPS)

1995年東京薬科大学薬学部卒業後、99年まで東邦大学医療センター大森病院勤務。2006年南カリフォルニア大学大学院薬学部Pharm.D.課程修了。Harbor-UCLA医療センター(インターン)、カリフォルニア州立大学デイビス校附属医療センター(レジデント)勤務を経て、08年より現職。日本の薬学教育・薬剤師実務の水準向上に貢献することを目的に、海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワーク「Pharm.D.クラブ(http://pharmd-club.cocolog-nifty.com)」を06年に結成。趣味は、ピアノ、ミュージカル・ジャズ鑑賞。

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