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日本でも成るか? 薬剤師の臨床業務の開拓

2010/04/22
岩澤真紀子

 最近、「スキルミックス」という言葉をよく耳にします。スキルミックスとは、医師、薬剤師、看護師など、異なる医療従事者間の業務の相互乗り入れ(協働)を指し、日本でも医師不足を受けて議論が活発になっています。また日本の薬剤師の間でも、薬剤師が今後果たすべき新たな業務展開が検討されていますが、その方向性の一つとして、アメリカの薬剤師臨床業務に対する関心が高まっています。

 最終回となる今回は、プロトコルやガイドラインを作成する際の手順、医薬品使用評価、新たな臨床業務を開拓する際のプロセスを紹介しながら、今後の日本で可能な薬剤師臨床業務の開拓、他の医療従事者との協力関係について考えてみたいと思います。

プロトコル型処方権のために特別な資格は必要か?
 薬剤師のプロトコル型処方権2010.3.15「アメリカの薬剤師が持つ“依存型”処方権」参照)について、日本でも最近、日本病院薬剤師会などが導入の可能性を検討していると耳にしました。

 「すべての薬剤師に処方権を認めるのかどうか」という議論もあるようですが、日本の薬剤師界で趨勢(すうせい)となりつつある「薬剤師間での薬剤師の差別化」は、薬剤師とはまた別の資格を作ろうとしているかのような印象さえ受け、この資格が長期的にどうなっていくのかが懸念されます。個人的には、イギリスのように薬剤師に独立処方権を与えるというならともかく、プロトコル型処方権の導入のために「特定の薬剤師が資格を持つ」ことが必要だとは思いません。むしろ重要なのは、どの薬剤師でも一定水準の臨床サービスを提供できるようなプロトコルを作成することでしょう。
 
 薬剤師がプロトコル型処方権を獲得するためには、それが患者に対するケアや安全性の向上、医療費削減などにつながり、いかに意義あることなのかを証明することに加え、他の医療従事者の理解・協力を得ることが不可欠です。プロトコル型処方が盛んなアメリカにおいても、「他の病院が薬剤師による抗凝固薬サービスを導入しているから、うちでも導入しましょう」と簡単に導入できるものではありません。病院の性質や他の医療従事者との協力関係、採用医薬品などによって、プロトコルの内容も当然違ってくるからです。

 プロトコルやガイドライン作成にかかわるプロジェクトは、アメリカでは病院薬剤師の業務の一つです。そのプロジェクトの一例として、医薬品使用評価を取り上げてみたいと思います。

著者プロフィール

岩澤 真紀子

聖ジョセフ病院ソノマ郡薬剤部/米国薬物療法認定専門薬剤師(BCPS)

1995年東京薬科大学薬学部卒業後、99年まで東邦大学医療センター大森病院勤務。2006年南カリフォルニア大学大学院薬学部Pharm.D.課程修了。Harbor-UCLA医療センター(インターン)、カリフォルニア州立大学デイビス校附属医療センター(レジデント)勤務を経て、08年より現職。日本の薬学教育・薬剤師実務の水準向上に貢献することを目的に、海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワーク「Pharm.D.クラブ(http://pharmd-club.cocolog-nifty.com)」を06年に結成。趣味は、ピアノ、ミュージカル・ジャズ鑑賞。

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