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アメリカの薬剤師が持つ“依存型”処方権

2010/03/15
岩澤真紀子

 前回、アメリカの薬剤師トレーニングの概要を紹介する中で、「ファーマシーテクニシャン」という調剤士の存在に触れましたが(2010.2.15「薬剤師を鍛え上げるアメリカのシステム」)、「調剤が薬剤師の仕事でないのなら、いったい薬剤師は何をしているの?」と思われた方もいるかと思います。そこでこれからは、アメリカの病院薬剤師が医療現場で果たす役割について見ていきますが、今回は手始めに、アメリカの薬剤師が持つ処方権のあり方を紹介したいと思います。

薬剤師の独立型処方権と依存型処方権
 薬剤師の処方権は、独立型と依存型に大きく分けられます。独立型とは、薬剤師が患者のアセスメント・診断・臨床マネジメントに責任を持つ処方権で、簡単に言えば、薬剤師が自分の判断で処方せんを書くことができる権限です。薬剤師が独立型処方権を持つ国の代表例はイギリスで、この処方権を持つためには、英国王立薬剤師会(Royal Pharmaceutical Society of Great Britain;RPSGB)に認定されたトレーニングプログラムを修了することが必須になっています。

 一方、アメリカの薬剤師が持つのは依存型処方権です。依存型処方権は、医療関係者-薬局間で約束処方に合意する「約束処方型」、患者が再診予約日以前に薬を望む場合に薬剤師がリフィルできる(医師に依らず、薬剤師の判断で処方を繰り返す)「反復型」など、さらに細かく分類できるのですが、アメリカで最もよく見られるのは「プロトコル型処方権」というものです(表1)。これは、病院内の正式な合意を経て文書化されたガイドラインを元に、独立した処方者(医師など)から権限の委任を受けて薬剤師が処方せんを書く形の権限を指します。これらのプロトコル(規定)や医薬品適正使用ガイドラインは、薬剤師だけで、あるいは医師とチームを組んで作成したものをP&T委員会(日本でいう薬事審議会)に諮って策定することになります。

著者プロフィール

岩澤 真紀子

聖ジョセフ病院ソノマ郡薬剤部/米国薬物療法認定専門薬剤師(BCPS)

1995年東京薬科大学薬学部卒業後、99年まで東邦大学医療センター大森病院勤務。2006年南カリフォルニア大学大学院薬学部Pharm.D.課程修了。Harbor-UCLA医療センター(インターン)、カリフォルニア州立大学デイビス校附属医療センター(レジデント)勤務を経て、08年より現職。日本の薬学教育・薬剤師実務の水準向上に貢献することを目的に、海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワーク「Pharm.D.クラブ(http://pharmd-club.cocolog-nifty.com)」を06年に結成。趣味は、ピアノ、ミュージカル・ジャズ鑑賞。

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