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薬剤師を鍛え上げるアメリカのシステム

2010/02/15
岩澤真紀子

 アメリカ人薬剤師は専門大学院博士課程(Pharm.D.)に合格することが実務実習を行なうためのインターン免許を取得できる唯一の方法なのに対し、外国人薬剤師は専門大学院博士課程(Pharm.D.)に合格、あるいはFPGEC(Foreign Pharmacy Graduate Examination Committee) Certificationを取得すると、インターン免許を取得できます。

 実践力重視のアメリカにおける薬剤師教育では、薬剤師になってからも、さらに研さんを積めるような卒後研修制度が整っています。今回は、アメリカにおける学生インターンの役割と薬剤師トレーニングの概要をお話しします。

クラークシップとインターンシップ
 Pharm.D.課程では、4年間のプログラムの最終学年に1年間かけて実務実習が行なわれます。この大学のカリキュラム内で行なわれる実務実習を「クラークシップ」と呼び、一方、カリキュラム外で行なわれる実務実習を「インターンシップ」と呼んでいます。インターンシップをするには、学生各自が就職活動を行なう必要がありますが、就職先の薬局あるいは病院から給料をもらうことができます。インターンシップは入学してインターン免許さえ得れば,卒業するまでどの学年でも行なえます。

 私の卒業した南カリフォルニア大学(USC)のPharm.D.課程は1学年の学生数が約200人と多いこともあり、インターン就職はクラスメイトや他学年の学生との競争でした。病院のインターン募集があるたびに応募してはみるものの、入学当時の私の英話力では面接でクラスメイトとの競争に勝てず、Harbor-UCLA医療センターにインターン就職が決まるまで本当に苦労しました。

 アメリカで薬剤師試験の受験資格を得るためには、州で定められた実務実習時間を終え、その証明書を願書と共に提出しなければなりません。私の住んでいるカリフォルニア州では、実務実習時間が1500時間と定められています。

 最終学年に行なわれる1年間のクラークシップで十分に1500時間を達成できればよいのですが、実はカリフォルニア州の薬剤師法では、修了要件としてクラークシップは最大600時間までしか認められないのです。そのため、クラークシップとは別に、インターンシップを900時間行なわなければ、薬剤師試験の受験資格が得られません 。こうした事情から、薬学生の大半は放課後や週末にインターンとして働いています。

学生インターンの重要な役割
 日本では学生の実務実習を負担に感じる臨床現場も少なからずあると聞きますが、アメリカではインターンがとても重宝されています。それはなぜなのでしょうか? アメリカにおける学生インターンの役割を見ていきましょう。

著者プロフィール

岩澤 真紀子

聖ジョセフ病院ソノマ郡薬剤部/米国薬物療法認定専門薬剤師(BCPS)

1995年東京薬科大学薬学部卒業後、99年まで東邦大学医療センター大森病院勤務。2006年南カリフォルニア大学大学院薬学部Pharm.D.課程修了。Harbor-UCLA医療センター(インターン)、カリフォルニア州立大学デイビス校附属医療センター(レジデント)勤務を経て、08年より現職。日本の薬学教育・薬剤師実務の水準向上に貢献することを目的に、海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワーク「Pharm.D.クラブ(http://pharmd-club.cocolog-nifty.com)」を06年に結成。趣味は、ピアノ、ミュージカル・ジャズ鑑賞。

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