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アメリカの薬剤師になる4つのルート

2009/12/24
岩澤真紀子

 「外国人がアメリカで薬剤師になるには、どれだけの方法があるのだろう?」「それぞれの方法の選択が、以後のキャリア形成にどんな影響を及ぼすのだろう?」――薬剤師としての臨床スキルを磨くためにアメリカの専門大学院博士課程入学を果たしたものの、そこに至るまでは考えるべきことが尽きませんでした。私がアメリカで薬学部に通い直すことを選択するに至った理由を含めて、このあたりの事情を紹介したいと思います。

アメリカで薬剤師になる方法
 私のように日本の大学を卒業して薬剤師免許を持つ者には、アメリカの薬剤師試験受験資格を得る方法が2つ用意されています。

 1つは、FPGEEForeign Pharmacy Graduate Equivalency Examination)という外国人薬剤師を対象とする試験に合格した後、各州が定めるインターン(実務実習)を病院薬局あるいは調剤薬局で修了すること。もう1つは、アメリカの専門大学院でPharm.D.課程を修了することですが、後述するように、Pharm.D.課程に進むには3つのルートがあります。アメリカでは、外国人を医療のプロフェッショナルとして受け入れるための制度が確立されているのです。

外国人薬剤師に立ちはだかる3つの試験
 FPGEEは年に2回行われるCBT(computer based test)で、試験時間5時間半、問題数250問、多項選択式です。基礎生物化学(21%)、薬学(29%)、社会科学/行動科学/薬局管理(15%)、臨床科学(35%)から出題されます(かっこ内は出題の割合)。

 私は、Pharm.D.課程に合格できない場合を想定して、FPGEEも受験しておこうと考えました。でも、情報が少なく、試験内容が不透明なこともあり、対策には苦労しました。準備が整わないまま受験して、結果的には合格したものの、正直な話、何を試され、どんな評価を受けて合格したのか、よく分かりません。

 FPGEEに合格しても、それだけで薬剤師試験の受験資格を得ることはできません。それに加えて、薬剤師として働けるだけの英語力があることを証明するために、TOEFLで550点以上(CBT213点)、TSE(外国人向けのスピーキング試験)で50点以上をマークすることが条件になります。このうち、外国人薬剤師にとって最も難関なのが、TSEで50点以上を取ることだといわれます。これら3つの試験の合格基準を満たして初めてFPGEC(Foreign Pharmacy Graduate Examination Committee) Certificationという薬剤師試験受験資格と、post graduate intern(卒後実習生)として地域の薬局や病院でインターンする資格を得ることができます。

著者プロフィール

岩澤 真紀子

聖ジョセフ病院ソノマ郡薬剤部/米国薬物療法認定専門薬剤師(BCPS)

1995年東京薬科大学薬学部卒業後、99年まで東邦大学医療センター大森病院勤務。2006年南カリフォルニア大学大学院薬学部Pharm.D.課程修了。Harbor-UCLA医療センター(インターン)、カリフォルニア州立大学デイビス校附属医療センター(レジデント)勤務を経て、08年より現職。日本の薬学教育・薬剤師実務の水準向上に貢献することを目的に、海外で臨床教育を受けた日本人薬剤師のネットワーク「Pharm.D.クラブ(http://pharmd-club.cocolog-nifty.com)」を06年に結成。趣味は、ピアノ、ミュージカル・ジャズ鑑賞。

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