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進化するカテーテル治療、次の標的は心不全
CSI D-HF 2016に参加して

2016/12/21
金子英弘

写真1 D-HF 2016会場の様子

 2016年12月2日から3日にわたってパリで開かれたDevice Therapies for Heart Failure 2016D-HF 2016)に参加してきました。D-HFは全世界でSHD(structural heart disease)interventionの教育コースを展開するCSI Foundation(Catheter Interventions in Congenital and Structural Heart Disease)が毎年末に開催するワークショップです。

 今回のワークショップでは、現在最も成長著しい分野となっている「心不全のデバイス治療」をテーマに、斯界のエキスパート約100人が世界中から集い、最新のデバイスや臨床エビデンスについて活発な議論を繰り広げました(写真1)。

 「心不全はあらゆる心疾患の終末像」と言われますが、そのありようを反映して心不全のデバイス治療も様々な分野に広がりを見せています。近年注目を集める弁膜症のカテーテル治療に関しては、この連載でも紹介した大動脈弁狭窄症に対するTAVI(transcatheter aortic-valve implantation)や僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClip(アボットバスキュラー社)だけではありません。同じく僧帽弁閉鎖不全症に対するMitraClip以外のニューデバイス(CardiobandMitralignAccuCinchなど)や、ここへ来てにわかに関心が高まっている三尖弁閉鎖不全症に対するインターベンションも、ワークショップで大きく取り上げられていました。

 有効な治療法が確立されていない、左室収縮機能の保たれた心不全(heart failure with preserved ejection fraction;HFpEF)に対する心房中隔シャントデバイス(CorviaV-Wave)や、心不全に高率に合併する中枢性無呼吸に対する横隔膜ペーシングデバイスについては、大いに評価する見方と懐疑的な見方に分かれていました。今後のランダム化比較試験で長期予後の改善効果が証明されれば、大きなブレイクスルーになります。

 また、心不全患者の中には、通院が困難だったりやむを得ず入退院を繰り返したりする方も多くいらっしゃいます。こうした患者を対象に数種類の遠隔モニタリングデバイスが開発されているようです。心臓内に植え込むことで観血的血行動態評価が継続的に行えるということで、非常に魅力を感じました。

著者プロフィール

金子 英弘

循環器内科医(ブランデンブルグ心臓病センター・ブランデンブルク医科大学)

東京都出身。2004年慶應義塾大学卒。同大医学研究科にて基礎研究に従事後、心臓血管研究所付属病院で循環器臨床(主に心臓カテーテル治療)、臨床研究に携わる。14年4月より日本学術振興会海外特別研究員として、ドイツのブランデンブルグ心臓病センターに留学。ドイツ医師資格を取得し、TAVI、MitraClip、左心耳閉鎖などstructural heart disease interventionの手技・臨床研究を行っている。16年4月からは常勤スタッフとして勤務。専門分野は、心臓カテーテル治療、虚血性心疾患、心不全、心臓弁膜症。医師資格(日本・ドイツ)、医学博士、循環器内科専門医。趣味は読書(歴史小説)、スポーツ観戦(野球、サッカー)。

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