
図1 SAPIEN3(画像提供:Edwards Lifesciences社)
前回ご紹介した経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic-valve implantation;TAVI)のニューデバイスであるSAPIEN3(商品名:エドワーズライフサイエンス社)(図1)は、大動脈弁逆流を予防するデバイス周囲スカートや小径化したデリバリーシースなどによって、これまでのTAVIの問題点を解決し、瞬く間にTAVIの標準デバイスとなりました。SAPIEN3は大きな期待と共に今夏、日本でも発売されました。
現在「最強」のTAVIデバイスと呼ぶにふさわしいパフォーマンスのSAPIEN3に関して、唯一懸念されるのがペースメーカー留置率の高さです。2013年の導入以降、日本でも用いられてきた旧世代のデバイスであるSAPIEN XT(商品名)と比較して、SAPIEN3では術後のペースメーカー留置率が高くなることが報告されています[1]。
表1のように、SAPIEN XTと比較してSAPIEN3はステント長が延長されており、デバイス周囲に逆流予防のスカートも付いていることから、デバイス留置による房室伝導系への障害が大きくなり、高いペースメーカー留置率につながると考えられています。ただ、このペースメーカー留置率についても、デバイス留置に際してSAPIEN3を若干高めに留置すれば改善できることも報告されています[1、2]。術者がSAPIEN3の留置手技に習熟すれば、克服できる部分が大きいのかもしれません。