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「最強」のTAVIデバイス、今後の課題

2016/10/12
金子英弘

図1 SAPIEN3(画像提供:Edwards Lifesciences社)

 前回ご紹介した経カテーテル大動脈弁留置術(transcatheter aortic-valve implantation;TAVI)のニューデバイスであるSAPIEN3(商品名:エドワーズライフサイエンス社)(図1)は、大動脈弁逆流を予防するデバイス周囲スカートや小径化したデリバリーシースなどによって、これまでのTAVIの問題点を解決し、瞬く間にTAVIの標準デバイスとなりました。SAPIEN3は大きな期待と共に今夏、日本でも発売されました。

 現在「最強」のTAVIデバイスと呼ぶにふさわしいパフォーマンスのSAPIEN3に関して、唯一懸念されるのがペースメーカー留置率の高さです。2013年の導入以降、日本でも用いられてきた旧世代のデバイスであるSAPIEN XT(商品名)と比較して、SAPIEN3では術後のペースメーカー留置率が高くなることが報告されています[1]。

 表1のように、SAPIEN XTと比較してSAPIEN3はステント長が延長されており、デバイス周囲に逆流予防のスカートも付いていることから、デバイス留置による房室伝導系への障害が大きくなり、高いペースメーカー留置率につながると考えられています。ただ、このペースメーカー留置率についても、デバイス留置に際してSAPIEN3を若干高めに留置すれば改善できることも報告されています[1、2]。術者がSAPIEN3の留置手技に習熟すれば、克服できる部分が大きいのかもしれません。

著者プロフィール

金子 英弘

循環器内科医(ブランデンブルグ心臓病センター・ブランデンブルク医科大学)

東京都出身。2004年慶應義塾大学卒。同大医学研究科にて基礎研究に従事後、心臓血管研究所付属病院で循環器臨床(主に心臓カテーテル治療)、臨床研究に携わる。14年4月より日本学術振興会海外特別研究員として、ドイツのブランデンブルグ心臓病センターに留学。ドイツ医師資格を取得し、TAVI、MitraClip、左心耳閉鎖などstructural heart disease interventionの手技・臨床研究を行っている。16年4月からは常勤スタッフとして勤務。専門分野は、心臓カテーテル治療、虚血性心疾患、心不全、心臓弁膜症。医師資格(日本・ドイツ)、医学博士、循環器内科専門医。趣味は読書(歴史小説)、スポーツ観戦(野球、サッカー)。

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