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カテーテル治療は心房細動の脳梗塞予防にも
欧米で注目される経皮的左心耳閉鎖術

2014/11/12
金子英弘

 昨年日本に導入された大動脈弁狭窄症に対するカテーテル治療(transcatheter aortic-valve implantation;TAVI)、今後導入が期待されるMitraClip(商品名)についてご紹介してきましたが、その次に注目を集めると予想されるのがカテーテルによる左心耳閉鎖術です。

 世界で類を見ない高齢化社会となったわが国において心房細動罹患率は高まり続け、現在では約100万人もの心房細動患者が存在すると考えられます。

 心房細動で懸念されるのが、心房細動に伴う脳梗塞(心原性脳梗塞)です。心房細動による脳梗塞の1年死亡率は約50%にも達するので、その予防は非常に重要です。

抗凝固療法と出血リスクのジレンマ
 心房細動の脳梗塞予防としては、いわゆる「血をサラサラにする薬」である抗凝固薬が用いられます。抗凝固薬として古くから用いられてきたのがビタミンK阻害薬であるワルファリンです。ワルファリンは長い歴史によって脳梗塞予防効果が確立されている一方で効果に個人差が大きく、また食べ物の影響(納豆を食べられないのは有名です)や、ほかの薬との飲み合わせの問題で使いにくいことも多いため、近年は新規経口抗凝固薬novel oral anti-coagulantsNOAC)と分類される新しい抗凝固薬も何種類か使えるようになっています。

 ただ、心房細動患者のすべてに対して脳梗塞の予防が必須というわけではありません。脳梗塞の発症リスクは、うっ血性心不全、高血圧、年齢、糖尿病、脳梗塞の既往から算出されるCHADS2スコア [1]によって予測ができます(表1図1)。この点数が増加するにつれて、年間の脳梗塞発症率は直線的に増加します。私自身は、原則としてスコア1点以上の患者には抗凝固薬の内服をお勧めしています。

著者プロフィール

金子 英弘

循環器内科医(ブランデンブルグ心臓病センター・ブランデンブルク医科大学)

東京都出身。2004年慶應義塾大学卒。同大医学研究科にて基礎研究に従事後、心臓血管研究所付属病院で循環器臨床(主に心臓カテーテル治療)、臨床研究に携わる。14年4月より日本学術振興会海外特別研究員として、ドイツのブランデンブルグ心臓病センターに留学。ドイツ医師資格を取得し、TAVI、MitraClip、左心耳閉鎖などstructural heart disease interventionの手技・臨床研究を行っている。16年4月からは常勤スタッフとして勤務。専門分野は、心臓カテーテル治療、虚血性心疾患、心不全、心臓弁膜症。医師資格(日本・ドイツ)、医学博士、循環器内科専門医。趣味は読書(歴史小説)、スポーツ観戦(野球、サッカー)。

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