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分かりやすいプレゼンの7つの鉄則

2010/08/23
市瀬 史

 先日、日本で開催された2つの医学・生物学関係の学会に出る機会がありました。1つは日本の学会でほとんどの発表は日本語でしたが、もう1つは国際学会で英語を使って発表が行われていました。どちらの学会でも、それなりに学問的に興味深い発表があり、勉強になることもありました。しかし、発表者によって発表の巧拙に大きな差があるのには、いつものことながら驚かされました。

 今回、1つ気付いたのは、プレゼンテーションの上手い下手は、日本語や英語の上手い下手以前の問題であるということです。日本語のスライドを使って日本語で話しながら、言いたいことがさっぱり分からないプレゼンもあれば、日本人が英語のスライドを使って、たどたどしい英語で話しながらも、非常に分かりやすいというプレゼンもありました。外国人の招待講演者でも、非常に高度な内容をとても分かりやすく話す人もいれば、その逆の残念な例も数多く見受けられました。

 かく言う私も、以前は人前でのプレゼンが大の苦手で、学会の前はいつも極度に緊張していました。特に英語で話さなければならない場合は、前日に寝ないで練習した挙げ句、演台に上がった途端に頭の中が真っ白になって大失敗した苦い経験も数え切れません。大量の情報を詰め込み過ぎて、聞いていた人から「さっぱり分からん」と言われたこともあります。

 私の研究上のメンターも、プレゼンが得意な人ではありませんでした。アメリカ人だからといって、皆がオバマ大統領のように話せるわけではありません。しかし、分かりやすいプレゼンの仕方を身に着けることは、準備と練習次第で誰にでもできます。私は、その準備と練習の仕方をメンターから学びました。「プレゼンが上手い」と自惚れているわけではありませんが、数多くの失敗の経験から、分かりやすくプレゼンするために気を付けていることがあります。今回はそのいくつかを紹介します。

鉄則その一:すべてのプレゼンテーションは面接試験と考える
 医師の世界に限らず、仕事上で行うプレゼンの究極の目的とは、そもそも何でしょうか? 一言で言えば、聞いている人たちに「あなたと一緒に仕事をしてみたい」と思わせることです。

著者プロフィール

市瀬 史

ハーバード大学医学部教授
/マサチューセッツ総合病院麻酔集中治療科・麻酔医

1988年、東京大学医学部卒業。1990年マサチューセッツ総合病院麻酔科レジデント、同フェロー。1995年、帰国して帝京大学医学部附属市原病院麻酔科講師。1998年に再渡米してハーバード大学医学部・マサチューセッツ総合病院麻酔科アシスタント・プロフェッサーを経て、2014年1月より現職。専門分野は心臓麻酔、心筋細胞の生理学、一酸化窒素や硫化水素による細胞保護、敗血症と心肺蘇生の分子生物学、人工冬眠の研究。趣味はスキー・テニス・ゴルフ・読書・映画鑑賞。レオナルド・ディカプリオと「The Departed」で共演しました(エキストラですが)。

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