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新米ドクター、「ひとりぼっち」の夜勤サバイバル(前編)
戦々恐々の「夜勤デビュー」

2010/12/16
堀籠晶子

重症患者が搬送されるとき、救急車とは別に、救命医(ノートアールツト)が乗って来る車です(ノートアールツトバーゲン)。夜勤のたびに、「オレンジの車がいつ到着するか」とハラハラしながら、救急外来の窓をしょっちゅうのぞいていました。

 秘かに恐れていた「夜勤デビュー」の日が、いよいよ迫ってこようとしていました。かつて私が勤務していた市中病院(地域の中核病院で、内科120床の規模)では、新米医師は4~8週目で「夜勤デビュー」するのが通例となっていたのです。

 今回と次回で紹介する「夜勤デビュー」の話はもう数年前のことになりますが、当時の経験は今でもはっきりと覚えています。

「さあ、行ってみよう!」がドイツ流?
 未経験でも、まずは実践させてみるのがドイツ流(?)です。新米医師の「夜勤デビュー」も例外ではありません。いきなり話が少し脱線してしまいますが、私がドイツで車の教習所に通っていたときのことです。車の動かし方も何も知らない状態から始めたのですが、日本のように教習所内で運転の仕方を教え、仮免許を取らせてから一般道に出るのではありません。いきなり一般道からのスタートです。

 どこかの広い駐車場で、エンジンをかけたり、半クラッチの練習をしたり(ドイツでは、ほとんどがマニュアル車)といったことを30分くらい行います。その後、「イェッツト ゲーツ ロース!」(さあ、行ってみよう!)と言われて一般道へ。最初は信号も交差点もないまっすぐな田舎道を走りますが、それでも生きた心地がしませんでした。

 臨床の教育にも似たようなところがあります。ドイツの医学生は臨床課程に進むと任意の病院で実習を行いますが、そこでは、病棟の医師から採血セットを渡され、「2回まで失敗していいから頑張って」と、いきなり患者のところへ送り出されます。医学生は初めての経験で手をガタガタ震わせながら患者の体に触れるのです。“練習台”となる患者はたまったものではないと思います。

「送っていいか?」の電話は送り出した後
 さて、夜勤の話に戻ります。夜勤のある日は14時からの勤務でした。それでも、担当の病棟業務を2時間で終わらせ、16時には内科の業務を1人で引き受けることになるので、非常に忙しかったです。それとほぼ時を同じくして、ICU担当のアシスタント医からICUの患者も引き継ぎます。その傍らで、救急車が容赦なく急患を運んできます。

著者プロフィール

堀籠 晶子

ミュンスター大学病院(消化器内科・内分泌学教室)・勤務医

上智大学大学院卒業。ドイツ人医師の夫と共に渡独。2004年にミュンスター大学医学部を卒業後、北ドイツにある総合病院の内科にて研修。2010年より現職。休日は、ドイツに点在するお城を散策したり、長く寒い冬にはゆっくりサウナに入ったりして、リフレッシュしています。

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