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ストマイの歴史と難聴

2019/10/18
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 呼吸器内科では、今でもストレプトマイシン(通称ストマイ)を使います。薬の内服が難しい患者の結核や抗結核薬の耐性結核だけでなく、非結核性抗酸菌症に対しても短期的に用いられています。抗酸菌感染症の世界では、基本的にストマイを半年以上使うことはありません。長期に使うほど、毒性が強くなるためです。

 ストマイの発見者は、公式にはセルマン・ワクスマンとされています(写真1)。1943年にワクスマンの研究室に所属していたシャッツという若者が単離したので、シャッツが発見者とされるべきですが、「いや、ワクスマン研究室で発見したのでワクスマンの業績だよ」と研究室側が主張し、シャッツはこれに反発して訴訟まで起こしています。最終的にはワクスマンとシャッツの共同発見でいいんじゃない、という落としどころになったのですが、どの教科書でも「ストマイの発見者はワクスマン」と書かれています。

写真1 セルマン・ワクスマン(WiKipediaより引用)

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。08年から始めた自身のブログ「呼吸器内科医」をベースにした書籍『「寄り道」呼吸器診療-呼吸器科医が悩む疑問とエビデンス-』を、2013年に刊行した。

連載の紹介

倉原優の「こちら呼吸器病棟」
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。日々の診療や、患者さん・他の医療スタッフとのやりとりを通して倉原氏が感じたことを、呼吸器領域ならではのtipsを交えて語ります。呼吸器診療の息遣いが垣間見えるブログです。

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