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胸水中ヒアルロン酸のカットオフ値はどこ?

2019/01/18
倉原優(近畿中央呼吸器センター)

 私たち呼吸器内科医は、「この片側胸水は何だろう?」と思ったとき、胸水中ヒアルロン酸をよく検査に出します。これは悪性胸膜中皮腫のマーカーとして知られているためです。胸水を何度も抜くと痛いですし、できれば一度に検査してしまいたいという思いもあって、結核性胸膜炎から悪性胸膜中皮腫まで幅広く想定して、初回にありとあらゆる項目をザーっと提出してしまう医師がほとんどだと思います。

 しかし、この胸水中ヒアルロン酸、若手医師から「カットオフ値ってどのくらいですか?」と聞かれることが多い、マイナーなマーカーでもあります。

 しかも胸水中ヒアルロン酸は、論文によって測定法が異なるので注意が必要です。日本の場合、ラテックス凝集比濁法で10万ng/mLがカットオフ値として使用されています。英語の文献だとmg/Lの単位が使われていることもあります

※10万ng/mL=100 mg/L

 結論から書くと、胸水中ヒアルロン酸のROC曲線はなだらかになっているので、カットオフ値を1つに設定しない方がよいです。というのも、3万~7.5万ng/mLあたりはかなりグレーゾーンで、特異度重視なら10万ng/mL、感度重視なら3万ng/mLあたりに設定するのが理にかなっているからです(表1)。

表1 悪性胸膜中皮腫の診断に対する胸水中ヒアルロン酸の感度・特異度

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。08年から始めた自身のブログ「呼吸器内科医」をベースにした書籍『「寄り道」呼吸器診療-呼吸器科医が悩む疑問とエビデンス-』を、2013年に刊行した。

連載の紹介

倉原優の「こちら呼吸器病棟」
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する若手医師。日々の診療や、患者さん・他の医療スタッフとのやりとりを通して倉原氏が感じたことを、呼吸器領域ならではのtipsを交えて語ります。呼吸器診療の息遣いが垣間見えるブログです。

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