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家のカビで引き起こされる肺疾患

2016/08/12
倉原優(近畿中央胸部疾患センター)

 ジメジメとした湿潤な気候は、夏型過敏性肺炎のリスク因子とされています。そのため、梅雨の時期に遷延性咳嗽を呈して来院した患者さんに対して、頭のどこかで過敏性肺炎を鑑別に挙げています。今年はなぜか私の外来に過敏性肺炎の患者さんは来ませんでした。

 夏型過敏性肺炎はトリコスポロン(Trichosporon asahii ・T. mucoides)という真菌によって引き起こされる両肺のびまん性粒状影がみられる肺疾患です。抗トリコスポロン・アサヒ抗体が2013年6月から保険収載されています。感度・特異度ともに高く有用なので、私もこの夏は何度か提出しました(全て陰性でした)。

 夏型過敏性肺炎は、亜急性の経過で強い乾性咳嗽がみられますが、抗原から隔離されると驚くほど症状が軽減します。そのため、抗原回避のみで全快する人が多数を占めます。

 さて、原因となっているトリコスポロン。特に木造建築で日当たりの悪い家の環境に存在することが分かっています。これを経気道的に吸入することで発症するアレルギー性疾患です。

 外来では、家が木造建築でジメジメしていないかどうか聞くことがあります。今から何年も前、呼吸器内科医になったばかりの頃、このような質問を患者さんにしたことがあります。

著者プロフィール

倉原優(国立病院機構近畿中央呼吸器センター呼吸器内科)●くらはら ゆう氏。2006年滋賀医大卒。洛和会音羽病院を経て08年から現職。日本内科学会総合内科専門医・指導医、日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医、日本感染症学会感染症専門医・指導医、インフェクションコントロールドクター。

連載の紹介

倉原優の「こちら呼吸器病棟」
倉原氏は、呼吸器病棟で活躍する医師。日々の診療や、患者さん・他の医療スタッフとのやりとりを通して倉原氏が感じたことを、呼吸器領域ならではのtipsを交えて語ります。呼吸器診療の息遣いが垣間見えるブログです。

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