
私は肺癌の患者さんも何人か診療しています。抗癌剤を投与して10~14日くらい経過すると好中球が減少するため、発熱しないように注意する必要があります。好中球が極度に低下した状態で患者さんが発熱した場合、発熱性好中球減少症として抗菌薬を投与しなければなりません。
多くの病院には「滅菌食」という食事があります。この理由として免疫不全状態にある患者さんは刺身や生野菜などはできるだけ避けた方がよいという知見があるためです(Oncol Nurs Forum. 2000 ;27(3):515-20.)。しかし、通常の病院食では刺身とまではいかなくてもキャベツの千切りあたりは普通に出てきますよね。そこで滅菌食が登場するわけです。実は滅菌食が本当に必要かどうかという点、そもそも生ものはダメなのかという点については異論があります。実際に生ものを含む食事とそうでない食事を比較した研究では、重大な感染の発症頻度に差はないと報告されています(J Clin Oncol. 2008 Dec 10;26(35):5684-8.)。
ある日、肺癌に対してシスプラチンとエトポシドという抗癌剤を投与した患者さんが、好中球150/μLの状態になりました。