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女性医師が子供を産むこと

2007/10/18

 今まで色々と書いてきましたが、今回でこのブログは最終回とします。最後は「女性医師子供を産むこと」について。

 女性医師の割合が増えたといわれる現在でも、多くの女子医学生・若手の女性医師が「子供を産むことへの不安」を抱えていることと想像している。

 私も子供が生まれるまでは、「子持ちになったら働けないのではないだろうか?」という漠然とした不安が常に頭の中にあった。医学生になったころから、ずっとこの不安を感じ続けてきたと思う。子持ちで働いている先生の存在を何人か知ってはいたのだが、「自分には到底無理」と諦めていたし、まず子持ちの状態に至る前に、周囲に迷惑をかけない妊娠・出産というのが正直難しいと感じていた。そして、その後に控える子育てと仕事の両立という大問題、どうやって乗り切ったらよいのかも分からず、当時は「ひょっとしたら辞めてしまうかも」とも考えていた。

 医者になったばかりのころは意識していなかった男性医師との違いも、こうして数年たてばいやが応にも自覚させられる時が来る。男性医師と同様に医者としても成長したいが、私もいつかは子供が欲しい。テレビに出てくるような理想の家庭を築きたい。しかしこれを望めば、きっと医者としての成長が頭打ちの状態になるだろうし、組織の中で多大な迷惑をかけてしまうことになる。

 何とか医師としての秩序を乱さないためにも出産後は周囲にあまり迷惑をかけず、自分にとっても良い時期に産める方法はないだろうか、と考えてもいた。最終的には(古典的なパターンではあるが)数年間の外病院勤務の後、専門医などの年数に応じた資格を取得し大学院生となり、アルバイト生活となったところで妊娠・出産、その後、学位が取れたら仕事に復帰――これがやはり最も迷惑をかけずに済む理想の方法だという結論に行き着いた。

 そして、出産後は多分、家庭との両立を考えながらそれなりの勤務で(非常勤で)、そして2人目が生まれたら大変そうなのでさらに勤務を減らして…。子育ての大変さが想像できなかった5年前には、不安のあまりこんな将来を思い描いていた。子供を産んでしまった後、医者としての未来はないものと思い込み、10年後の自分が想像できなくて苦しんでいたように思う。

著者プロフィール

公平順子(東京女子医大病院麻酔科)●こうへい じゅんこ氏。2000年高知医大卒、同年結婚。京大麻酔科に入局後、静岡市立静岡病院、倉敷中央病院勤務を経て、2007年より現職。夫と娘との3人暮らし。

連載の紹介

公平順子の「仕事も家庭もあきらめない」
麻酔科医、勤務医の妻、1児の母の3役をこなす公平氏。妊娠中の苦労や子育てしつつ学んだこと、転勤の極意、医師としての修行の日々などを、エッセイ風につづります。

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