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リン酸オセルタミビルと異常行動の関係は?-厚労省廣田班発表資料を読む

2008/07/16

 7月10日に開かれた厚生労働省「第7回リン酸オセルタミビルの臨床的調査検討のためのワーキンググループ」で、リン酸オセルタミビル(商品名:タミフル)と異常行動の関連についての解析結果の中間報告が発表されました。いつもは医学論文を“斬って”いますが、今回は、番外編として、この発表資料のスライド(こちら)を読んでみました。2007年度第5回薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会安全対策調査会(07年12月25日開催)の議事録(こちら )も参考にしました。

【診療上の疑問・課題:明確】
 「タミフルの服用により、異常行動が増えるのか」を検証しようとしたもので、課題は明確でした。

【研究デザイン:前向きコホート研究】
 今回の対象は、2006~07年のシーズンにインフルエンザにかかって医療機関を受診した患者です。最初に発熱した日から4日間にわたって経過観察を行い、薬の使用の有無、および異常行動の有無を調べました。

【コホートの設定方法:全国の692施設が参加。1施設当たり10~20人が対象。詳細は不明】
 全国の692施設がこの調査に参加しました。具体的にどういう施設が協力したのか、スライドには詳細が示されていませんでした。

 「ある特定の日から連続して10~20人のインフルエンザ患者(18歳未満)を対象とした」とありますが、本当に連続した症例が登録されたか(恣意的なサンプリングが行われていないか)どうかは不明です。また、10~20人と幅を持って設定されていたため、全部で何人に対して調査票が渡っていたかも分かりませんでした。

 登録された症例について、医師は、「医師用調査票」に情報を記入した上で、患者・家族に「患者家族用調査票」を渡して必要事項を記入してもらい、結果を患者・家族から回収して医師用調査票に残りの部分を記載し、研究班に報告しました。

【曝露内容の測定:担当医師が記録】
 タミフルを使用したかどうかは担当医師が調査票に記入しており、実態と大きく異なってはいないと思われます。

【アウトカムの測定:患者による記録】
 痙攣、意識障害、異常行動などの重い症状は、家族が記入しました。そのため、記憶違いや勘違いなどが、ある程度は起こっているものと考えられます。実際、タミフルの服用と異常行動の時間的前後関係が不明のケースもありました。

著者プロフィール

北澤京子(日経メディカル編集委員)●きたざわ きょうこ。1994年日経BP入社。専門分野は、医師患者関係、EBMなど。2006年9月から1年間、英国ロンドン大学公衆衛生学・熱帯医学大学院に留学。

連載の紹介

北澤京子の「医学論文を斬る」
「専門用語や統計が頻出する英語の医学論文を手早く正確に読む際には、押さえるべきポイントがある」と語る筆者が、注目論文を批判的に吟味し、独自の視点で解説します。

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