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意外?患者の半数は国の新型インフル対策を評価

2010/02/16

 「国の新型インフルエンザ対策は適切だった?」に対する、たくさんの投票とコメントありがとうございました。

 今回のテーマについても、日経メディカル オンライン(NMO)と日経ビジネスオンライン(NBO)の投票結果には大きな差が出ました。NMO(医師)では「Yes(適切)」はわずか14%で、圧倒的多数の86%が「No(適切ではなかった)」と回答しています。一方、NBO(患者)では、「Yes」が52%、「No」が48%で、評価は真っ二つに分かれています。

 コメントを見る限り、NMOで「No」が多数を占めた最大の理由は、WHOの方針に反した空港検疫などの“水際作戦”の重視、「発熱外来」の設置などに見られる「新型インフルエンザ対策行動計画」の硬直的な運用、二転三転した新型インフルエンザワクチンの接種回数など、“机上の施策”により不要に振り回されたと感じている点にあるようです。つまり、不勉強で現場を知らない厚生労働官僚と政治家のパフォーマンスが、パンデミックによる混乱をさらに加速させたとの見方です。

 「空港での水際作戦は、“滑稽”の一言」「国内感染の1例目が発見された神戸で初期に治療に当たりましたが、行政のすべての対応が後手後手でした」「施策がこれだけ二転三転しては、現場はたまりません。新型インフルエンザ関連で、医師会からどれだけファックスが来たと思いますか?」「新型インフルエンザワクチンには振り回されっぱなしだった。接種回数は次々に変わる、ワクチンは10mLバイアルなので、どうしても余りがでる・・・」。同様のコメントが、数多く寄せられました。

NMO、NBOの双方でマスコミの報道姿勢に対する批判
 NMOとNBOにおける投票結果の違いには、医師と患者の間における、新型インフルエンザに関する情報量の差が表れている気もします。多くの情報を持ち現場で苦労を強いられた医師の評価は厳しくなる一方、情報量が少ない患者においては検証すべきポイントがあいまいとなり、結果として採点が甘くなった面はあるかもしれません。

 新型インフルエンザの流行に伴い、患者の間には一時的にパニックが広がりました。受付や診察室で怒鳴る患者もしばしば見られたと聞きます。こうした騒動を招いた最大の原因も、情報不足だといえるでしょう。

 情報に関していえば、マスコミの報道姿勢を問題視するコメントが、NMO、NBOの双方に複数見られました。「死者数が毎日のように報道され、国民の恐怖心をあおりたてた。マスコミの報道姿勢には困惑せざるを得ません」「マスコミが異常だった。アメリカ帰りの感染者をまるで犯罪の容疑者扱いにしたり。もっと冷静に対応すべき」「面白おかしくバラエティのようにしてただ騒ぎを大きくし、厚労省攻撃ばかりでは、国民はうんざりです」といった声が、その具体例です。

著者プロフィール

木村憲洋(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科准教授)●きむら のりひろ氏。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。神尾記念病院などを経て現職。

連載の紹介

木村憲洋の「どうする?日本の医療」
日本の医療が抱える問題の解決策について、一般の方々と議論してみませんか?このブログは、医療を受ける立場の読者が多い「日経ビジネスオンライン(NBO)」でも公開しています。

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