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診療報酬は引き上げるべき?

2009/11/04

 通常の医療機関は、売り上げの大半が保険収入です。保険収入は、診療報酬という公定価格に基づいて決まるため、診療報酬の改定は医療機関の経営を大きく左右します。近年、病院の破たんの増加が話題になっていますが、その背景に、後述するような診療報酬のマイナス改定があることは間違いないでしょう。

民主党はプラス改定の意向
 診療報酬は、保険適用の医療行為を行った場合に医療機関が得る収入を点数化(1点10円換算)したものです。例えば、患者が初めて来院した際などに算定する「初診料」は270点(2700円)と定められており、このほか、点滴や手術、検査などすべての医療行為について、細かく規定されています。

 診療報酬は2年に1度改定され、次回改定は2010年4月の実施です。これまでは、診療報酬全体の改定率は内閣が決定し、個別の点数の増減など改定財源の“配分”に関する作業は、主として厚生労働省の中央社会保険医療協議会(中医協)が担当しています。改定前年の9月ころから議論がスタートし、12月末に全体の改定率が決定、2月に具体的な内容が固まり4月から適用されるというのが従来の通常のスケジュールでしたが、政権交代により、次回改定はこれまでとは違った道筋をたどることになるかもしれません。

 次回改定に向けた中医協での議論は、例年に比べると非常に遅れています。10月1日で任期が切れる委員が8人おり、その後任選びが難航したからです。これまで、中医協委員のうちの3人は日本医師会の“推薦枠”だったのですが、民主党の意向で“撤廃”され、10月末、日医の執行部ではない3人の新医師委員が選出されました。衆院選で自民党を支持した日医への報復ともいわれていますが、日医抜きでの中医協での議論がどう進むか注目の集まるところです。

 民主党は既に、医師確保やスタッフの充実を進める病院の入院分野については診療報酬を増額する方針を明らかにしており、全体の改定率は5%程度、入院分野については10%程度の引き上げを検討しているともいわれます。ただ、報酬をアップすれば、患者の窓口負担は上がりますし、不景気で健康保険組合などの保険収入が大きく減っている中、財源確保も大きな問題となります。

 そこで今回は、これから議論が本格化する2010年度の診療報酬改定について、考えてみたいと思います。

著者プロフィール

木村憲洋(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科准教授)●きむら のりひろ氏。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。神尾記念病院などを経て現職。

連載の紹介

木村憲洋の「どうする?日本の医療」
日本の医療が抱える問題の解決策について、一般の方々と議論してみませんか?このブログは、医療を受ける立場の読者が多い「日経ビジネスオンライン(NBO)」でも公開しています。

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