医師というと高収入でセレブというイメージがあります。これまでこのコラムでは「医師数」や「医師の労働環境」といったテーマを取り上げてきましたが、これらの問題を議論する中で、読者からは、医師の報酬に関するコメントが多く寄せられました。その大半は、「医師の収入は高過ぎるのでは?」といった論調でした。
果たして、医師の収入は、高いのでしょうか?低いのでしょうか?
毎年、様々なメディアが、独自の調査による企業別給与ランキングを発表します。通常、上位に名を連ねるのはマスコミや総合商社などで、そうした企業の給与は、40歳前後で平均1300万円程度となっています。さて、一方で、医師の収入とは、どれほどなのでしょうか?
ご存知のように、医師は大まかには、勤務医と、オーナー経営者である開業医や病院長に分かれます。給与を比較する際に、一般企業のサラリーマンと経営者である開業医を比較するのは、サラリーマンと中小企業のオーナーを比較するようなものです。もともと比較すべき対象ではないと思いますので、以下では、一般企業のサラリーマンと勤務医を比べることにします。
なお、大学病院の医師などの場合、他院へのアルバイト勤務により収入を得ている例も多くあります。ただ、アルバイト収入の額は人によって大きく異なりますので、この点は除外して話を進めたいと思います。
パイロットよりは若干低め
下の表1は、厚生労働省の「平成20年賃金構造基本統計調査(全国)結果」から、給与に関する部分を抜粋したものです。この調査は、主要産業に雇用される労働者について、性別、年齢、学歴別に雇用形態や賃金などについて調べています。
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著者プロフィール
木村憲洋(高崎健康福祉大学健康福祉学部医療福祉情報学科准教授)●きむら のりひろ氏。武蔵工業大学工学部機械工学科卒。国立医療・病院管理研究所病院管理専攻科・研究科修了。神尾記念病院などを経て現職。

連載の紹介
木村憲洋の「どうする?日本の医療」
日本の医療が抱える問題の解決策について、一般の方々と議論してみませんか?このブログは、医療を受ける立場の読者が多い「日経ビジネスオンライン(NBO)」でも公開しています。
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