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中医協がちょっとだけ変わった1年

2009/12/30

 民主党政権になり、中央社会保険医療協議会中医協)のメンバーが少し変わり、長妻昭厚生労働大臣や、足立信也山井和則各厚生労働大臣政務官が、会議に顔を出されて新たなスタートが切られてから約2カ月経ちました。この間、「中医協は大きく変わりましたか?」とよく聞かれましたが、中医協の雰囲気が大きく変わったという印象はありません。5年前の中医協改革の時は、ルールや構成など、議論の土俵自体が根本的に大きく変わりましたが、今回は、あくまでも委員の交代であって、会長をはじめとする公益委員の議事進行に沿って、それぞれの課題に沿った議論が粛々と進められているからでしょう。

 新しく委嘱された委員についても、就任当初は少しラフに見える発言も時にありましたが、基本的に、それぞれの委員が紳士的に、そして真摯に議論をしていると感じています。もちろん、それぞれの委員にこだわりや思いがあり、発言の仕方にも個性がありますが、中医協のテーマの重大性を考えれば、決して委員の声の大きさで結果が決まるのではなく、健全な論理と民主的な意見交換がとても大切であるというコンセンサスができつつあると感じています。

 結局、今度の診療報酬の全体改定率が+0.19%と決まりました。しかし、改定率に沿って、全ての診療報酬が比例的に改定されるわけではありません。全体の改定の平均を+0.19%にするのであって、個々の診療報酬については、それぞれ大幅にプラスやマイナスにすることが可能で、その役割を担うのが中医協です。

 診療報酬全体の改定率の引き上げを医療界が求めるのは、これまでも全く同様でした。また、周産期を含めた救急医療等に重点的に配分する方針も従来通りですが、ただ、これまではダイナミックさに欠けました。民主党政権になったのですから、まさに医療費の中の事業仕分けをするように、既成のものでも無駄なものは大胆に削り、その分を必要なところの財源としてしっかりと回していくことができるかどうかが問われていると言えるでしょう。

「患者へのレセプト発行」義務化が山場
 私が中医協の委員になってからずっと訴え続けてきた「レセプト開示の義務化」は、過去2回の診療報酬改定で少しずつ進み、今回の診療報酬改定でようやく実現に向けた正念場を迎えています。

 12月22日に行われた今年最後の中医協総会で、支払側委員の総意としてまとめて提出した資料の中にも、レセプト開示の義務化について、「医療に対する理解、関心を深め、患者・国民が医療に積極的に参加できるよう、原則、全患者への明細書の無料発行を義務づけるべきである」と記されました。また、総会の席で、支払い側委員の代表として資料説明をした白川委員は限られた時間の中でも、上記の部分だけを読み上げて、強調してくれました。

著者プロフィール

勝村久司(中央社会保険医療協議会委員、高校教諭)●かつむら ひさし氏。1990年、陣痛促進剤を使った出産で長女を失い、その医療裁判を機に市民運動に取り組む。「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人。

連載の紹介

勝村久司の「『患者本位』とは何か」
医療事故や薬害の被害者団体などで市民運動を続ける一方、さまざまな職種の医療関係者とも交流を続つ勝村氏が、医療に強い関心を持つ「一般市民」の視点で本来あるべき「患者本位の医療とは何か」について語ります。

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