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実は医療者も被害者も同じことを考えている

2009/10/14

陣痛促進剤の無理な投与で娘を失った勝村さんが、その医療裁判や市民運動の経緯をまとめた『ぼくの「星の王子さま」へ』(幻冬舎文庫)

 私は現在、厚生労働省中央社会保険医療協議会中医協)の委員や、日本医療機能評価機構の産科医療補償制度運営委員会の委員などを務めさせていただいています。そのような立場上、多くの医療関係者と、医療に対して何らかの問題を感じておられる患者側の両方の立場の方々とお付き合いさせて頂いています。

 「患者のために」という思いで精一杯仕事をする医療関係者ほど、過労気味になっています。不本意な医療を受けた患者は、「同じようなことが起こらないように」と活動しています。その両者と話していて感じるのは、医療関係者も患者側も、その苦しみの体験こそ違いますが、「こうしていけばよいのに」「こうなっていけばよいのに」と考えていること、願うことは、実は同じだということです。

 反対側の立場で苦しんでいる者同士が、実は同じ改革を求めているのですから、両者は手をつなぐべきです。近年の医療問題の議論では、決して医療側と患者側が対立をしているのではなく、立場に関係なく「医療側も患者側も一緒になって大きな視野で公益のために健全に議論をしようとしている人」と、そうでない人たち、すなわち「医療側、患者側というレッテルを貼って短絡的に極端な議論をしようとしている人たち」との対立に見える場面が、私には何度もありました。

 真に公益の視点に立った医療再建のため、事実の情報共有と、健全な議論の土俵作りに少しでも役に立つことができればという思いで、この連載を始めさせていただくことにしました。また、民主党のマニフェストでも注目されている中医協についても、委員の立場から「どのように変わってきているのか」「何が課題なのか」などを述べていきたいと思います。これから、よろしくお願いします。

著者プロフィール

勝村久司(中央社会保険医療協議会委員、高校教諭)●かつむら ひさし氏。1990年、陣痛促進剤を使った出産で長女を失い、その医療裁判を機に市民運動に取り組む。「医療情報の公開・開示を求める市民の会」世話人。

連載の紹介

勝村久司の「『患者本位』とは何か」
医療事故や薬害の被害者団体などで市民運動を続ける一方、さまざまな職種の医療関係者とも交流を続つ勝村氏が、医療に強い関心を持つ「一般市民」の視点で本来あるべき「患者本位の医療とは何か」について語ります。

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