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診療所の再診料、引き下げ回避に安堵
病院勤務医の負担軽減は診療所の協力あってこそ

2008/01/31

 1月30日の中央社会保険医療協議会中医協)の総会で、診療所の再診料引き下げの見送りが決まりました。私は、「産科や小児科をはじめとする病院勤務医の負担の軽減」という今改定のメーンテーマを実現する上で、この結論は良かったと思っています。病院勤務医の負担を軽減するには、診療所開業医の頑張りが欠かせないと考えるからです。

 再診料の引き下げ論は、財源の確保という目的から出てきました。厚生労働省が当日示した資料によれば、産科・小児科・病院勤務医対策には約1500億円が必要(異論多し)ですが、今回の医科診療報酬の引き上げ幅0.42%では、400億円強が不足します。そこで、再診料、外来管理加算、デジタル加算など点数削減の選択肢について、それぞれが生み出す財源と引き下げによるメリット・デメリットを厚労省が示し、議論が行われた上で、公益委員の裁定により再診料には手をつけないことが決まりました。

 実は、このメリット・デメリットの対照表について、支払い側は「意図的な表で、中立性・公平性に疑問がある」と厚労省に咬みつきました。選択肢に掲げられた6項目のすべてで、「診療所の『大幅な収入減』による地域医療提供体制への影響」がデメリットとして挙げられていたからです(ご興味のある方は、こちらの記事の最下部にある「宿題事項について」という資料をご覧ください)。

 ですが私は、診療側(日本医師会)こそ、この対照表に異を唱えるべきだったと思っています。この表では、デメリットとしてあまり強調されていませんが、「診療所開業医のやる気が削がれること」こそが、診療所から病院への財源の移転することの最大のデメリットであるはずだからです。実際、日医も、この日の総会で、診療所から病院に財源を移転することで、診療所開業医の「やる気を削ぐ」「モチベーションが低下する」といった悪影響が出る可能性を指摘していました。また1月25日の公聴会でも、こうした開業医のモーラルダウンの結果、「しわ寄せが病院勤務医にいき、さらに負担が重くなるのではないか」という危惧を表明しています。

 病院勤務医の仕事の中で、外来診療に要する時間や労力は決して少なくありません。いつ達成できるのか分からない医師の増員よりも、病院から診療所へと外来患者を移すことの方が短期間で効果を上げられそうです。こうした点を考えるだけでも、病院勤務医の負担軽減には診療所開業医の活性化が不可欠だと思うのです。

欠かせぬ外来患者の受け皿、国民への広報も
 具体的な例で言えば、対策のメニューの一つとして、産科や小児科などの入院医療を手がける地域の中核病院が、外来の縮小や地域医療機関との連携に取り組んだ場合に、入院料の加算を算定できる仕組みの導入が提案されています(a)。また日医は反対していますが、これまで診療時間としていなかった平日の夜間や早朝、日曜・祝日などに、診療所が“営業”する場合に初再診料へ加算をつける案も出ています(b)。

 (b)については、診療所が、厚労省の経済誘導に乗ろうという気にならなければ、病院から診療所へ外来患者の流れは生じません。(a)の場合、病院はやる気になったとしても、受け皿となる診療所が前向きに取り組んでくれないと、外来患者は立ち往生してしまいます。

連載の紹介

どうなる?!診療報酬改定2008
後期高齢者医療の診療報酬はどうなるのか?産科や小児科や救急の評価は高まるのか?勤務医の負担軽減策は示されるのか?——注目を集める2008年度診療報酬改定に向けて、今秋から本格化する中医協の審議の模様を、独自取材によりリアルタイムでお届けします。
日経BP「診療報酬改定2008」特別取材班日経BP医療局の専門記者たちが総力を挙げて取材、情報分析します。

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