
中医協総会の資料より
12月14日の中央社会保険医療協議会(中医協)の総会では、後発医薬品(後発品)の使用促進のための環境整備の骨子案が了承された。
注目されていた処方せん様式の再変更は、処方せんに設けたチェック欄を現状の「変更可」から「変更不可」に変えることで決着した。4月以降、後発品への代替調剤を希望しない場合には、毎回、処方せんの「変更不可」の欄にチェック(署名もしくは記名・押印)しなければならなくなる。
医師が、処方せんの「変更不可」の欄にチェックしなければ、調剤薬局では、患者の同意の下、処方医への確認なしに、処方せんに書かれた先発品を同じ成分の後発品に代替調剤することができるようになる。また、処方せんの「変更不可」にチェックがなければ、薬局では「先発品→後発品」の代替調剤のほか、「後発品A→後発品B」への代替調剤、すなわち銘柄で処方された後発品を、別銘柄の後発品で代替調剤することも可能になる。ただし、先発品の口腔内崩壊錠を、同一成分の普通錠の後発品に代替するなど、剤型の異なる代替調剤は認められない見込みとなった。
また、複数の薬剤を処方する場合で、一部の薬剤だけを「変更不可」に指定したい場合には、「変更不可」の欄にはチェックせず、(1)当該薬剤の薬剤名の横に「変更不可」と明示する、(2)当該薬剤の薬剤名の横に「*」などのマークを付け、別途、処方せん内に「*を付してある医薬品は変更不可」と説明書きを加える――という2つの方法が提示された。
なお、薬局での後発品の調剤を促進するために、後発品の調剤率が30%以上の薬局では、処方せん1枚ずつに算定する「調剤基本料」をアップすることも決定している。
今改定での後発品の使用促進策については、議論が始まった当初、日本医師会は「処方権の侵害だ」と反対の意向を示した(10.18 「処方権の侵害だ!」と医師委員が猛反発)。しかし、1カ月ほどで全面的に賛成へと態度が変化(11.14 院外処方は「後発品への変更OK」が前提に)。さらにその後、「剤型の異なる後発品の代替調剤は認められない」などと二転三転し、ようやく、この形で落ち着いた格好だ。
この様式変更で、予定通りに後発品の使用が促進されるのか、医師の処方に何らかの制限や不自由さが発生してしまうことにはならないのか。4月以降の動向に注目したい。(和田 紀子=「診療報酬改定2008」特別取材班)