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8~18時以外は開院中でも「時間外加算」に
診療所の夜間・早朝シフトを誘導、勤務医の負担軽減策で

2007/12/04

 11月30日に開催された中央社会保険医療協議会中医協)の診療報酬基本問題小委員会では、「勤務医の負担軽減策」の一つとして、診療所の早朝・夜間診療についての議論が行われた。

 勤務医の負担軽減策については、メディカルクラーク(医療秘書)の導入など、ほかにも検討が行われている(11.6 あなたの病院にも「秘書」が来る!?)。今回議論された「診療所の夜間診療」は、診療所の開業時間を夜間に延長することで、救急医療機関に勤務する医師にとって負担となっている時間外軽症者の受け入れを軽減することが目標だ。ただし、これまでの中医協で「夜間診療の点数を上げる分、初再診料を削るというのは、本末転倒な話」と医師委員から不満が噴出。具体案に関心が高まっていた。

 今回提案されたのは、8時から18時までは、通常の初再診料を算定し、それ以外の時間の診察については、その診療所の開院時間とは関係なく「時間外加算」をできるというもの(加算の名称は未定)。従来からある22時から翌朝6時までの「深夜加算」や、昼の休憩時間中などの緊急応需時の加算(現行の「時間外加算」)の仕組みは継続する。2006年の改定で導入された小児科の時間外加算も変更しない見込みだ。

 注目されていた初再診料への影響について、厚生労働省保険局医療課は、「夜間診療への加算は、初再診料とは切り離して考えていただきたい。初再診料については別途検討する」とした。

 医師委員からは、「朝8~9時が(時間外の対象から)外れているのが問題。この時間帯は、学校や仕事に行く前に受診しようとする患者が多い上に、病院では職員のミーティングなどがあり、忙しい。その分を診療所が担ってくれると助かるのだが」という意見が出た。これに対し、厚労省は「8時を9時に変更するのは、(財源の問題で)なかなか困難」、「全体的な財源(の割り振り)の問題もあるので、今後検討する」と応じた。

 一方、支払側委員からは、「夜間診療は患者にとって便利で、既に根付いている地域もあり、すべての診療所に点数を付けるのはいかがなものか」との意見が出たものの、厚労省の提案については、概ね了承された。

 ただ、この時間外加算の拡大だけで、実際に開院時間を延長する診療所が増えるかどうかには疑問がある。「もう少し遅くまで(もしくは早くから)開けてほしい」というニーズがある地域なら、自然発生的に夜間診療や早朝診療を行う診療所が出てきているし、逆にそうしたニーズが少ない地域で、無理に夜間や早朝に診療所を開けていても、患者はポツポツとしか来ず、職員の人件費ばかりがかかることになってしまう。

 もちろん今改定で、ほかの部分でのマイナスがあるのであれば、話は別だ。厚労省は「初再診料とは切り離す」とは明言したが「下げない」とは言っておらず、初再診料についてもまだ予断を許さない。また「簡単な処置の処置料は基本診察料に含める」という議論もあり、これも診療所への影響が大きそうだ(11.2 軟膏塗布、点眼、鼻洗浄は“サービス”に)。ほかでのマイナスを補うべく、やむを得ず、診療所がこぞって早朝や夜間にシフトする――。来春には、全国でそんな光景が見られるのだろうか。(和田 紀子=「診療報酬改定2008」特別取材班)

連載の紹介

どうなる?!診療報酬改定2008
後期高齢者医療の診療報酬はどうなるのか?産科や小児科や救急の評価は高まるのか?勤務医の負担軽減策は示されるのか?——注目を集める2008年度診療報酬改定に向けて、今秋から本格化する中医協の審議の模様を、独自取材によりリアルタイムでお届けします。
日経BP「診療報酬改定2008」特別取材班日経BP医療局の専門記者たちが総力を挙げて取材、情報分析します。

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