日経メディカルのロゴ画像

【ネットで議論「侮るなかれ中耳炎」Vol.5】
ワクチン導入で医療費の削減を狙う
― 小児科と耳鼻科咽喉科の連携を密にするために ―

2007/08/24

ワクチン導入で「耐性菌感染症を予防できる可能性が高くなる」と山中氏。

―― ここまで、薬剤耐性菌が拡大し、さらに難治化や遷延化が蔓延するなど、懸念される実態があることをお話いただきました。また、先生方が発表された「小児急性中耳炎診療ガイドライン」が打開策の一つであることもご紹介いただきました。最後に、予防面での展開、特にワクチンの進捗状況をおうかがいしたいと思います。

山中 中耳炎の原因である肺炎球菌に対するワクチンは現在、国内で7価肺炎球菌ワクチンの治験が終了しており、来年以降に、承認申請をする段階に来ています。

―― かなり有望なのでしょうか。

山中 海外の報告では、中耳炎全体の減少率は6%程度のようです。意外に思われるかもしれませんが、中耳炎の50~60%が細菌によるもので、そのうち肺炎球菌によるのは30%であることを考えると、決して見劣りするものではないのです。さらに実際の中耳炎による受診回数や難治性中耳炎に対する鼓膜換気チューブ留置術の回数も有意に減少するなど、中耳炎に対しても明らかにワクチンの有効性は認められています。

―― 聖路加国際病院一般内科・田中まゆみ先生から、「予防は治療に勝る」というコメントをいただきました。ご紹介しますと、「多剤耐性菌が問題となってきている今こそ、小児に肺炎球菌ワクチン(小児用7価ワクチン)を早期に導入してほしいものです。米国では、Hib(インフルエンザ菌)ワクチンで髄膜炎が激減しましたし、肺炎球菌ワクチンで子供の中耳炎も肺炎も髄膜炎も激減しています。医療費削減につながるし厚生労働省も財務省も助かるはず」などとご指摘されています。

山中 まさにその通りです。現在日本で急増している薬剤耐性肺炎球菌の大部分は、7種の血清型でカバーされますから、小児用7価ワクチンは日本でも速やかに導入すべきです。米国のデータですが、重症中耳炎の患児から分離された肺炎球菌を調べたところ、7価肺炎球菌ワクチンの導入前後で、耐性菌が実に43%も減少していたのです。

連載の紹介

夏休み特別企画「医療放談2007 Summer」
臨床から「医療崩壊」まで、医療界の旬な話題について、一家言ある先生方に提言、対談・鼎談していただいた内容を連載します。ご意見・ご感想は、このブログにコメントを付ける形でお寄せください。

この記事を読んでいる人におすすめ