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「生きづらさ」に向き合った教育改革者の3つの約束

2022/06/30

 私は子どものころ「変わった子」「問題児」と周囲から見られていた。幼稚園の遠足の帰り、道端にしゃがみこんでアリの動きに見入って園児の列からはぐれてしまい、かなりの時間がたってから歩いて帰った。小学校の低学年のころ、校舎の屋外階段の1階と2階の踊り場から下に向けてオシッコをしてこっぴどく叱られた。水滴がどう落ちるか見たかったのだが、親は女性教師に呼び出され、「ほかの学校に行ったほうがいいんじゃないですか」と転校を勧められたと後から聞いた。とにかく1カ所にじっとしているのが苦手だった。

 厚生労働省の「知ることからはじめよう メンタルヘルス」というウェブサイトには「注意欠如・多動性障害(ADHD)」について「子どもの多動性-衝動性は、落ち着きがない、座っていても手足をもじもじする、席を離れる、おとなしく遊ぶことが難しい、しゃべりすぎる、順番を待つのが難しい、他人の会話やゲームに割り込む、などで認められます」と記してある。当てはまる。今なら発達障害と診断されていたことだろう。たまたま私は鈍感であって、少しばかり勉強ができたから「みんなと一緒」に学校教育を終えられたが、自分でも説明できない「つらさ」を抱えた子どもは少なくない。

 今年3月に亡くなった宮澤保夫さん(星槎グループ創設者)は、発達障害や不登校、引きこもりなどの言葉がなかったころから、そうした子どもに教育基本法の枠にとらわれない、「いつでもどこでも学べる」教育環境を提供してきた。十数年前、初めてお会いしたとき、星槎グループの理念である「3つの約束」を教えられ、これだ、と感激した。

 その約束とは、「人を排除しない」「人を認める」「仲間をつくる」だ。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

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