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コロナリテラシーと「もう一隻の船」

2021/08/31

 新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、各国にコロナリテラシー(コロナ禍を読み解く技)ともいうべき共通課題を突きつけた。コロナリテラシーは、政治のリテラシーの試金石であって、パンデミックは、各国の政治の力を試しているのだ。人流を抑えるための措置や、検査・隔離から医療提供体制の整備、ワクチンの調達と自治体への配分、リスクコミュニケーション等々、コロナリテラシーは政治に直結している。

 しかし、昨年来、日本の現政権が行ってきたコロナ対策は、とても「明かりははっきりと見え始めている」(2021年8月25日・菅義偉首相会見)状況を作り出したとは言い難い。デルタ株の猛威は、首都圏から全国へ拡大しており、私が暮らす長野県でも医療崩壊の危機が高まっている。

 政府・与党には「楽観論」がはびこり、東京五輪・パラリンピックの開催を導いてきた。その元をたどると、スポーツの祭典の熱狂を追い風に政権の支持率を高め、権力を維持しようとする考えがあると報じられている。そうした思惑に引きずられ、現実のコロナ対策は実効性を失ってきた。

 このような場合には、政治における「もう1つの選択肢」が必要だ。ところが、野党からは、少し先を見据えたオルタナティブは一向に提示されない。政府のやり方に批判的な英知が結集し、現実的な対処法を掲げる動きが全く出てこないのである。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

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