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「アルマアタ宣言」から40年
今、若手医師が国内外で「農村医学」を学ぶ意義

2018/02/28

 今年は、「プライマリヘルスケア」(PHC)を定義づけた「アルマアタ宣言」から40年の節目に当たる。PHCとは、「すべての人にとって健康を基本的な人権として認め、その達成の過程において、住民の主体的な参加や自己決定権を保障する理念であり、方法・アプローチでもある」とされる。1978年9月、旧ソ連カザフ共和国の首都、アルマアタで開催された国際会議で、この原理的思考を盛り込んだ宣言が採択された。

 「すべての人」と頭書される国際目標としては、地球上の誰一人として取り残さない(leave no one behind)ことを謳った、現在の「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals:SDGs)が有名だ。アルマアタ宣言は、これに40年先行する全世界的な取り組みであった。

 アルマアタ宣言では、PHCの基本的活動項目として、「健康教育」「水供給と生活環境」「栄養改善」「母子保健と家族計画」「予防接種」「感染症対策」「簡単な病気やケガの手当」「基本医薬品の供給」を挙げた。以来、同宣言は、「すべての人々に健康を」(Health For All)という目標達成の鍵として、世界保健機関(WHO)に加盟する各国に受け入れられてきた。

 戦後、日本は、医師不足、医薬品不足の窮状からGHQ主導による保健所再編が行われ、地域公衆衛生活動が活性化された。結核対策と母子保健対策、この2点に医療資源を集中、公衆衛生の向上を図った。さらに1961年には国民皆保険が実現、無医地区の解消が進められ、1970年代後半には一応の保健医療環境が整ったといえるだろう。アルマアタ宣言は、そうした日本の歩みを「外」からの視点で相対化してくれた。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

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