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メディカルスクールの可能性

2009/03/09

 医師不足、医療崩壊を食い止める一策として、
 北米型の「メディカルスクール」に関心が集まっている。

 四病院団体協議会は、四年制大学卒業者(学士)を対象に
 医学教育を提供するメディカルスクール創設の提言をまとめた。

 その報告書によれば、メディカルスクールは、学士の中から
「よき臨床医になりたいという強い意欲」と「一定レベル以上の学力」のある人を
 選抜して4年間の医学教育を行う医師養成機関と位置づけられている。

 すでに米国で126校、カナダには18校あり、
 入学時の学生の平均年齢は23~24歳。
 卒業生は臨床医としての動機付けがなされており、
 コミュニケーション能力に優れると評価されている。

 アジア・オセアニア地域でも、豪州では、医学校の半数以上がすでに
 メディカルスクール化しており、韓国は数年以内に全医学部が
 メディカルスクールになるという。

 日本でも、ようやく社会経験を積んだ人が
 医師になる道筋が議論されるようになった。
 むしろ遅すぎるくらいだと思う。

 しかし、厚生労働省の中からは「医学部への学士編入制度の導入で
 優れた臨床医が育成されているという評価は得られていない」
「医師養成課程がダブルスタンダードになり、医師の質に差が生じる」
「養成数が、恒常的に増加する」といったマイナス面を指摘する声も聞こえてくる。

 保守的な、官庁らしい反応だが、反対論者の心の中には
「どんな学生が入ってくるか分からない」ことへの不安があるのではないか。

 山の村で診療所長を務めていたころ、
 毎年、多くの医学生や看護学生が「実習」にやってきた。

 その中には、メディカルスクールを先取りするかのように、
 社会人を経て医師への道を選んだ変り種も少なくなかった。

 例えばある男子学生は、数年間、
 東京で大手都市銀行の銀行員として働いた後、
 地方の国立大学医学部に入り直した。

 彼は、転身の理由をこう語ってくれた。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

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