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ハケンとセイホ

2009/01/26

 歳末から、今年の1月5日にかけて、東京の日比谷公園で
「年越し派遣村」なる支援活動が行われた。

 ボランティアに入った若者によれば、大晦日の「村」は、
 食事も比較的ゆっくりとれる状態だったが、
 メディアで報道されるや、一気に「村民」が増えたという。

 茨城県から歩いてきた人、自殺に失敗して訪れた人、
 交番で村を紹介されてきた人…と、
「テレビの報道より厳しい現実を目の当たりにして、
 大企業に対する怒りが、ふつふつと沸いてきました」
 というのが、この若者の感想である。

 派遣社員には「常用型」と「登録型」があるそうで、
 製造業の「派遣切り」の対象になっているのは、
 主に後者なのだという。

 派遣先企業と派遣会社、派遣労働者の契約は、
 派遣先企業が派遣会社との契約を打ち切った時点で、
 派遣会社と派遣労働者の「雇用関係」も解消される、
 と記載されていることが多いようだ。

 これでは派遣会社、などといっても、
 単なる「職業斡旋所」ではないだろうか。
 とても、雇用主とは言い難い。

 派遣村の入村者約500人のうち、半数以上が生活保護を申請し、
 数日内にアパートでの生活保護開始決定を得たようだ。

 しかし、国民一般に、これを「超法規的な特別扱い」と
 誤解している向きがあると聞く。

「生活保護問題対策全国会議」や
「首都圏生活保護支援法律家ネットワーク」に集う
 弁護士らの知見によれば、
「派遣村」での生活保護適用こそ、制度運用の本来の姿だそうだ。

 例えば「住所がないと生活保護は受けられない」
 というのは俗説で、誤っている。

 生活保護法19条1項で居住地のない者は、
 その「現在地」を所管する福祉事務所が
 生活保護の実施責任を負うと定めている。

著者プロフィール

色平哲郎(JA長野厚生連・佐久総合病院 地域医療部 地域ケア科医長)●いろひら てつろう氏。東大理科1類を中退し世界を放浪後、京大医学部入学。1998年から2008年まで南相木村国保直営診療所長。08年から現職。

連載の紹介

色平哲郎の「医のふるさと」
今の医療はどこかおかしい。そもそも医療とは何か? 医者とは何? 世界を放浪後、故若月俊一氏に憧れ佐久総合病院の門を叩き、地域医療を実践する異色の医者が、信州の奥山から「医の原点」を問いかけます。

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