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アウトカム評価拡大で「回復期バブル」が終焉?

2016/04/18
井上 雅博(大田記念病院)

 回復期リハビリテーション病棟は、濃厚な急性期医療を中心とした病床ではなく、脳卒中や大腿骨、骨盤、脊髄、股関節または膝関節などの骨折の発症、手術後のリハビリに特化して在宅復帰を目指す病床として、2000年に制度化されました。

 以前から、「人口10万人当たり50床」が目標とされており、回復期リハビリテーション病棟協会によれば、全国で7万4460床 (2015年3月1日現在)、整備されています。整備状況には地域差があり、九州・沖縄が人口10万人当たり93床、四国84床に対して、関東は43床となっており西高東低の状態です(詳細は同協会のウェブサイト参照)。

 回復期リハビリ病棟の対象は脳卒中や整形外科疾患などにほぼ限られますので、患者さんは急性期病院からの転院か、自院の中にある急性期病床からの転棟例ということになります。今回の診療報酬改定に向けた議論では、FIM(機能的自立度評価票)で見た場合の改善実績が低いままのところがあるなど、回復期リハビリの提供内容とアウトカムについて問題視されてきました。

 結局、今回の改定では、リハビリによる改善の実績が一定の基準を下回る場合、1日6単位を超える分は入院料に包括されることになりました。改善実績の評価にはFIMが使用されます。

回復期リハビリ病棟は再編の時代に
 今後、アウトカム評価に基づいた支払いが拡大すれば、評価基準を満たせない病院が「退出」するケースが出てくるなど、回復期リハビリ病棟の再編が進む可能性があります。

 また、評価基準を満たして生き残った病院も、これまで以上に競争にさらされることになりそうです。患者の紹介元である急性期病院が、それぞれの回復期リハビリ病棟のパフォーマンスや特徴を数値として把握し、それを基に患者さんを紹介することになると考えられるからです。

 これまで、地域によっては回復期リハビリ病棟が急拡大し、ちょっとした「バブル」のような様相を呈していたところもありました。地域内で回復期リハビリ病棟の整備が進むとどうなるか、私が勤務する大田記念病院が立地する広島県福山市を例にして説明します。

 当院における脳卒中の地域シェアは7割以上で、年間1200人前後の患者さんが平均在院日数12日前後で退院し、半数以上が自宅へそのまま復帰されます。残りの患者さんのうち、回復期リハビリ病棟へは例年400人ほどが転院されています。

 2011年度の厚生労働省の患者調査では、この地域の脳血管疾患の平均在院日数は54.4日と、広島県全体の95.8日と比較して短かったのですが、2014年度の患者調査のデータで見ると、広島県全体では78.6日に短縮しているのに、逆に福山市は69.7日へと延びています。

 この間に何が起きたかというと、福山市内では回復期リハビリ病棟が100床以上増設されました。2011年の時点では人口10万人に対して50床前後であったのが、80床を超えたため、一部では競合が発生し、病床稼働率の維持・向上を図るために平均在院日数の延長となった可能性があります。

著者プロフィール

井上雅博〇いのうえまさひろ氏。1993年島根医科大学卒。名古屋大学循環器内科に入局、外資系製薬企業、脳神経センター 大田記念病院(広島県福山市)を経て製薬企業に移籍。東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野大学院研究生としてDPCデータの研究に携わっている。

連載の紹介

ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
日々、新聞やネットで医療に関するニュースをもとに、skyteamの名前でアルファブロガーとして活動してきた井上氏が、ニュースをもとに考察していきます。

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