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アウトカム評価に基づく診療報酬の支払いが拡大方向

2014/06/16

 前回地域医療ビジョンに基づく二次医療圏ごとの医療機能の再編について書きました。一連の医療制度改革の中では、このほかにも医療の「質の評価」や、「医療費適正化計画」の遂行も大きなテーマとなっていますので、今回はその辺りの動向に触れておこうと思います。

気になる「医療費適正化計画」の動向
 先日、日本経済新聞のトップに、「医療費抑制へ地域目標 都道府県ごとに」という記事が出ていました(5月26日朝刊)。医療費の目標を設定し、医療費がかかりすぎている都道府県に改善を促すことで「適正化」を進めていくという内容です。この医療費適正化は、“霞が関用語”では「削減」あるいは「節約」といった意味合いとなるようです。

 医療費について都道府県へ改善を促す仕組みとしては、既に2008年度から「第一期医療費適正化計画」が進められ、生活習慣病の予防の徹底(特定健診実施率を2012年度に70%とすることを目標とする)や、平均在院日数の短縮(平均在院日数の全国平均と最短の長野県の差を縮小して29.8日を目標とする)などが行われてきましたが、2010年度時点での中間評価では、例えば特定健診実施率は2008年度の38.9%から 2009年度に40.5%(速報値)に微増しただけで、成功したとはいえません。

 現在、2013年度から17年度までの第二期医療費適正化計画が運用されており、様々な数値目標が設けられています。この目標達成に向けた施策は、今後一層強化されると考えています。具体的な目標としては、これまで進められていた在院日数短縮や後発医薬品の使用促進といったもの以外にも、「医療費の見通し」など気になる言葉がちりばめられています(厚労省「第二期全国医療費適正化計画(平成25~29年度)について(概要)」参照)。

医療の質を測る物差しとしての「病院指標」
 一方の「質の評価」については、現在、厚労省の事業として「病院指標」の作成と公開への話し合いが進められています。公開される病院の指標については、厚労省の審議会において、「診療科別症例数トップ3」「初発の5大癌の病期分類別ならびに再発患者数」「成人市中肺炎の重症度別患者数」「脳梗塞の ICD10 別患者数」「診療科別主要手術の術前、術後日数、症例数トップ3」などが挙げられています。

 既にDPCデータでも、再入院率や院内死亡率などが数値化され、ベンチマークされるようになっています。海外ではPay for Performance(P4P:質に基づく支払い)といった制度が導入されている国もありますが、日本でも今後、アウトカムに関する報告や公表、さらにはアウトカムそのものを評価した報酬が拡大することは十分考えられます。各医療機関の報告データがそろってきたら、医療機関ごとに数値が並べられ、一定の水準をクリアしなければ診療報酬で減算される可能性も出てきます。

 そうなると、これまで以上に「カイゼン」が要求され、チームとしてより良い医療や、より安全な医療を提供できるように切磋琢磨することが求められるようになるでしょう。

著者プロフィール

井上雅博〇いのうえまさひろ氏。1993年島根医科大学卒。名古屋大学循環器内科に入局、外資系製薬企業、脳神経センター 大田記念病院(広島県福山市)を経て製薬企業に移籍。東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野大学院研究生としてDPCデータの研究に携わっている。

連載の紹介

ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
日々、新聞やネットで医療に関するニュースをもとに、skyteamの名前でアルファブロガーとして活動してきた井上氏が、ニュースをもとに考察していきます。

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