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広告規制強化で転換迫られる美容医療業界

2014/01/06

 「美容医療トラブル続発 治療費、広告と大きな差」(2013年11月25日、中日新聞)、「美容医療相談ダイヤル開設 トラブル増加で」(13年10月11日、朝日新聞)といった具合に、美容医療を巡って様々な問題が報道されています。

 治療そのものに関する問題に加え、最近報道が目立つのが広告に起因するトラブル。競争が激しい美容医療業界では、患者さんを集めるためインターネットや雑誌の広告が盛んで、患者の体験談や「ビフォーアフター」の写真の紹介など、目立つ広告があちこちに掲載されてきました。

 看板などの医療機関の広告は医療法の規制の対象となりますが、ホームページは医療法上の広告には当たらないとされ、同法の規制の対象外となっています。そのため、美容医療を中心とする医療機関のホームページでは問題のある表現が数多く見られましたが、最近、状況が大きく変わりつつあります。行政による指導が強化され、美容医療業界の広告に対する“包囲網”が強まってきているのです。

ガイドライン策定も「誇大広告」はなくならず
 美容医療業界の広告に関しては、これまで様々な問題点が指摘されてきました。ビフォーアフターの写真の掲載では画像の加工疑惑が生じたり、効果の誇張や、受診をあおる表現が問題になったこともあります。治療料金に関しても、広告に掲載されていた金額をはるかに上回る料金を請求され、施術後にトラブルになるケースが報告されています。

 美容医療などの自由診療の分野で、ホームページの情報を巡って患者とのトラブルが目立つようになったことを受け、厚生労働省は2012年9月に「医療機関のホームページの内容の適切なあり方に関する指針」と題したガイドラインを策定。好ましくない表現として「優良誤認」「内容誇大」「虚偽」「安さの過度の強調」などを明示しました。

 例えば著名人による推薦文は、「優良誤認」につながる恐れがあり、掲載すべきでないとされています。「絶対安全」「日本有数の実績」など、内容の客観性を説明できないものも同様です。

 ガイドラインに法的拘束力はなく、医療機関や関連団体の自主的な取り組みに委ねられることとなりました。しかし、ガイドラインが出た後も、「最新」「日本一」「あらゆるお肌のトラブルを…」といった誇大な表現が絶えませんでした。

 そこで13年3月、東京都が指導に動きました。都内4カ所の美容医療クリニックに対し、改善指導を行ったのです。問題とされたのは、「1週間でウエスト5cm引き締め」「今だけ! 脂肪吸引50%OFF」といった表現でした。「50%OFF」については、ほぼ毎月割引キャンペーンを実施していたのに、期間限定とうたった点が問題とされました(都のホームページ参照)。

著者プロフィール

井上雅博〇いのうえまさひろ氏。1993年島根医科大学卒。名古屋大学循環器内科に入局、外資系製薬企業、脳神経センター 大田記念病院(広島県福山市)を経て製薬企業に移籍。東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野大学院研究生としてDPCデータの研究に携わっている。

連載の紹介

ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
日々、新聞やネットで医療に関するニュースをもとに、skyteamの名前でアルファブロガーとして活動してきた井上氏が、ニュースをもとに考察していきます。

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