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日本の病院は今後どうなる?(下)
急性期病床の絞り込みと医療連携がさらに進む方向に

2013/11/26
井上雅博

 前回も触れた通り、医療法改正や診療報酬改定の政策誘導により入院医療の「機能分化」が進み、一般病床は急性期医療を担うDPC病院、その他の一般病院、回復期や亜急性期を担う病院といった具合に、診療機能が明確化されてきました。今後も、社会保障・税一体改革で示された、2025年時点での医療提供体制モデル(2025年モデル)の実現に向け、在院日数短縮などにより急性期病床がさらに絞り込まれ、一般病床の機能分化が一層進んでいくとみられています。

在院日数短縮に不可欠な「総合力」
 急性期病院が在院日数を短縮するために用いる方法としては、外来での検査の実施や、検査入院と手術目的の入院の分離、さらに外来化学療法の実施によるがん患者さんの外来移行などが挙げられ、病棟でも治療密度を上げる努力が行われてきました。

 また、侵襲の大きい手術をする場合には、術前に歯科や口腔外科での口腔ケアによる人工呼吸器関連肺炎の予防、術後は早期リハビリの開始、さらには免疫機能低下や筋力低下の防止を目的とした栄養サポートチームによる早期の経口摂取の支援といった、総合的な取り組みが行われています。

 これらのためには医師や看護師だけではなく、薬剤師、歯科医師ならびに歯科衛生士、管理栄養士、リハビリスタッフを含めた「総合力」が問われ、合併症の発生防止や退院支援の地道な努力で、さらなる入院期間の短縮を図っているのが現状です。

重み増す地域連携室の役割
 急性期病院が手術、救急患者を受け入れ、短い入院期間でベッドを回転させていくためには、退院後の「受け皿」との連携、いわゆる後方連携が不可欠。厚生労働省も、後方連携などの医療連携を診療報酬上で評価し、連携室の機能強化を求めています。

 急性期病院の連携室は、従来は担当者が1人か2人といった陣容でしたが、こうした政策面の後押しもあり、最近は専従の看護師や社会福祉士を配置して、他院との情報交換やケアマネジャーへの連絡など、積極的な退院支援を行うのが当たり前となっています。

 ちなみに私が勤める180床の病院でも、連携室は看護師2人を含む9人体制ですが、それでも業務が大変多く、退院に向けて様々な患者さんのご家族の相談に乗るなど重要な役割を担っています。病棟において、リハビリスタッフや医師、看護師らと一緒に退院の調整、支援に当たって、入院後早期から転院先をリストアップ。予定手術であれば、入院前の段階から手術後の転院先まで決めておくなど、きめ細かな対応によって在院日数の削減を実現してきました。

 また、こうした医療連携を進めるためには、連携先に送る診療情報提供書などを迅速に作成することも欠かせません。勤務医の事務作業の負担軽減のため、メディカルクラークの配置が診療報酬上、「医師事務作業補助体制加算」として評価されていますが、これもある意味、医療連携をバックアップする仕組みといえるでしょう。

 医療連携は、患者さんにとっては何もメリットがないように見えるかもしれません。しかし、リハビリスタッフが十分に配置されていない急性期病院に長く入院していたら、術後に十分なリハビリを受けられず、機能回復や社会復帰が遅れる可能性があります。

 また、回復期リハビリテーション病院には、平日以外に土曜や日曜でもリハビリを実施できる体制を整えているところも多く、まさしく患者さんの社会復帰、自宅復帰に大きく寄与していると考えられます。

著者プロフィール

井上雅博〇いのうえまさひろ氏。1993年島根医科大学卒。名古屋大学循環器内科に入局、外資系製薬企業、脳神経センター 大田記念病院(広島県福山市)を経て製薬企業に移籍。東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野大学院研究生としてDPCデータの研究に携わっている。

連載の紹介

ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
日々、新聞やネットで医療に関するニュースをもとに、skyteamの名前でアルファブロガーとして活動してきた井上氏が、ニュースをもとに考察していきます。

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