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どこへ行く? 「社会保障制度改革国民会議」

2012/12/04

 近付きつつある衆議院選挙の争点は、原子力発電所への対応や消費税への対応、成長戦略などになりそうです。

 もちろん、それぞれ大切なテーマですが、社会保障についてはどの政党もあまり切り込めていないように思います。年金しかり、医療しかり。生活保護制度のように芸能人の不正などをきっかけにメスが入った分野もありますが、年金と医療の総枠の話としては、日本維新の会が「混合診療の解禁」や「軽症患者の自己負担増」をうたっている程度。現時点では、現行の制度を大幅に見直すような話は出ていません。

 ですが、実はこの11月から始まった「社会保障制度改革国民会議」では、民主、自民、公明の3党合意の下、医療や福祉について給付水準の見直しが行われています(関連記事:2012.11.30「社会保障制度改革国民会議が初会合、ネットで中継」)。健康な若者に対する年金や健康保険料の支払いの負担が重くなる中、同会議では高齢者の医療費が1割の負担のままでいいのか、また医療費全体の枠組みの中で、どこまで医療保険の制度でカバーすべきかが議論されるのは間違いありません。

 もう少し具体的に国民会議の議論の方向性を予測すれば、2008年11月4日に内閣に提出された「社会保障国民会議」の最終報告の「(4)医療・介護・福祉サービスの改革」に近いものとなるでしょう。医療や福祉の提供体制の問題点は2008年と変わっていませんし、今回の会議で会長に選ばれた清家篤氏は社会保障国民会議の委員でもありましたから、これを無視する訳にはいかないはずだからです。

 2008年の社会保障国民会議の最終報告で、特に注目したいのは「サービス提供体制の構造改革と人的資源・物的資源の計画的整備」と示されていた部分です。少し引用してみます。

「選択と集中」の考え方に基づいて、病床機能の効率化・高度化、地域における医療機能のネットワーク化、医療・介護を通じた専門職種間の機能・役割分担の見直しと協働体制の構築、人的資源の計画的養成・確保など、効率化すべきものは思い切って効率化し、他方で資源を集中投入すべきものには思い切った投入を行うことが必要であり、そのために必要な人的・物的資源の計画的整備を行うことが必要である。

著者プロフィール

井上雅博〇いのうえまさひろ氏。1993年島根医科大学卒。名古屋大学循環器内科に入局、外資系製薬企業、脳神経センター 大田記念病院(広島県福山市)を経て製薬企業に移籍。東京医科歯科大学大学院医療政策情報学分野大学院研究生としてDPCデータの研究に携わっている。

連載の紹介

ニュースウォッチャー井上雅博の「世相を斬る」
日々、新聞やネットで医療に関するニュースをもとに、skyteamの名前でアルファブロガーとして活動してきた井上氏が、ニュースをもとに考察していきます。

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