東京都立小児総合医療センターの感染症科の回診は、研修医の先生も含めて7人くらいで行っている。しかし、2010年の8月に赴任した当初、スタッフは自分1人で、下に研修医の先生もいない。わずか2年前は、教える相手もなく1人で寂しく回診をしていた。
1人しかいないので当然、土日祝日もない。当院は小児病院で、小児科だけで561床。小児感染症科も立ち上げからしばらくすると、少しずつコンサルトが増えてきて、20人前後の患児を併診で診させてもらうようになった。具合が悪い子もいるので余程のことがない限りは病院に毎日来てフォローをした。
感染制御、微生物学検査の整備、抗菌薬の適正使用のチェック、研修医の先生の教育、研究費の獲得、そのほか外部からのさまざまな頼まれごと…と、やることは診療以外にも山積みだった。とにもかくにも、まずは仲間を増やさなければ回らないと切実に感じた。
新規に会員登録する
会員登録すると、記事全文がお読みいただけるようになるほか、ポイントプログラムにもご参加いただけます。
著者プロフィール
堀越裕歩氏(東京都立小児総合医療センター感染症科)●2001年昭和大卒。沖縄県立中部病院、昭和大学小児科、国立成育医療センター(当時)などを経て、08年7月カナダ・トロント小児病院にクリニカルフェローとして留学。10年8月から現職。

連載の紹介
堀越裕歩の「小児感染症科はじめて物語」
カナダでの2年の臨床留学から帰国し、小児専門病院で与えられたミッションは「小児の感染症科の立ち上げ」。手指衛生の徹底から始まり、時には抗菌薬処方をめぐって衝突…。国際標準の小児感染症診療を日本で実践する中での奮闘をご紹介します。
この連載のバックナンバー
-
2015/06/30
-
2015/02/13
-
2014/10/20
-
2014/06/30
-
2014/03/04