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東京都知事選で応援演説
未曾有の大震災、その直後に目の当たりにした若者の無関心

2011/04/21

 千年に一度の大震災が起きたその時、私は仙台に向かう新幹線に乗るため、東京駅の地下コンコースにいました。地震によってすべての公共交通機関はストップし、私は避難所として開放された東京国際フォーラムのフロアの床に横たわって一夜を明かしました。

 1カ月が経過した今でも、毎日朝から晩まで報道される大震災関連のニュース。私の出身は郡山市ですが、身近な地域の悲惨な様子は他人事でなく、このブログを更新する気力も萎えていたというのが正直なところでした。

 医療崩壊を阻止しようと現場から情報発信の活動を続けてきましたが、震災以来、当然のことながら、国民の関心は被災者や福島第一原子力発電所の放射能漏れに集中しています。被災者救済や被災地の復興、原発問題の解決が現在の最優先課題であることは論を待ちません。ですが、一方で、高齢人口が急増する「2025年問題」を目前にして、医療再生への取り組みが停滞してしまうのではないかと大変心配でした。

 そのような混乱した状況の中で敢えて行われたのが、今回の統一地方選でした。しかし、メディアが連日流すのは大震災関連のニュースばかり。日本の首都の東京都知事を決める選挙のはずが、各候補者のマニフェストの紹介はもちろん、討論会を見る機会もほとんどありませんでした。

 医療関係者は皆問題に感じていたと思いますが、世界の経済大国である日本の首都・東京の医療や福祉は、石原都政の12年間で大きく後退してしまいました。東京都は高齢者人口の増加数が全国第1位です。一方、都の介護基盤整備率(65歳以上の高齢者人口に対する介護施設定員の比率)は、特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)が全国47都道府県中43位、介護老人保健施設は最下位の47位です(2008年の介護サービス施設・事業所調査と各都道府県の高齢者人口を基に算出)。さらに、人口10万人対の病院数は40位、病院病床数は42位(いずれも2008年厚生労働省医療施設調査)というお寒い状況となっているのです。

 今回の都知事選は、未曾有の大震災を受けて、今後日本人がどのような国創りを目指すのか、その試金石になるはずでした。そのような時に、「朝まで生テレビ」などのテレビ番組でご一緒したことのある小池晃候補の陣営から私に応援演説の依頼が舞い込みました。私は他候補と同氏のマニフェストを比較して、医療・福祉再生のためには同氏を応援することが医師の社会的責任ではないかと考え、応援演説を引き受けました。

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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