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患者はなぜ待ち時間で怒るのか

2010/07/16

 日本の多くの病院や診療所に共通する悩みは、患者さんの待ち時間に対する不満をいかに軽減するかではないでしょうか。

 実は、私は院内で患者サービス向上委員会を担当しています。この委員会でも、患者満足度を向上させるため、かねて「いかに待ち時間を短くするか」が大きなテーマでした。つい最近も、待ち時間のストレスを少しでも軽減しようと、外科外来の待合室にテレビを設置しましたが、診察に当たる医師や看護師、さらに受付スタッフなどの数に比して外来患者さんの数は圧倒的に多く、ある程度の待ち時間に対する苦情は仕方がない、と半ばあきらめていました。
 
 そんな折、たまたま先日の医療制度研究会の会場で『待ち時間革命』(日本評論社)という本を目にしたのです。

 著者の前田泉氏は、外資系製薬会社でマーケティングに従事後、2004年5月にスナッジ・ラボという医療マーケティング会社を設立した方です。著書に『患者満足度―コミュニケーションと受療行動のダイナミズム』(日本評論社)などがあり、全国800カ所の診療所・クリニック、50カ所の病院で患者満足度調査を実施した実績をお持ちです。以下に本書の「はじめに」の一節を紹介します。

はじめに

(前略)

 私の率直な印象では、医療者は待ち時間に対して患者が本当に望んでいることを正しく認識していない。このような状況で、仮に待ち時間対策を実行しても、最初の課題設定がずれていては、患者が満足する解決策には行きつかないだろうと考える。そこで本書では、以下の事柄を、病院の待ち時間に即して考えてみたいと思う。

(1)マーケティングの視点から、消費者心理では待ち時間は品質のシグナルとなり、決して「ゼロにすればよい」というものではないこと

(2)心理学的な視点から、時と場合によって感じる待ち時間の長さが異なること

(3)社会学の視点から、時間の過ごし方の決まり方の違いで、個人にとっての「待ち時間」の意味合いが大きく変わること

(後略)

著者プロフィール

本田宏(済生会栗橋病院院長補佐)●ほんだ ひろし氏。1979年弘前大卒後、同大学第1外科。東京女子医大腎臓病総合医療センター外科を経て、89年済生会栗橋病院(埼玉県)外科部長、01年同院副院長。11年7月より現職。

連載の紹介

本田宏の「勤務医よ、闘え!」
深刻化する医師不足、疲弊する勤務医、増大する医療ニーズ—。医療の現場をよく知らない人々が医療政策を決めていいのか?医療再建のため、最前線の勤務医自らが考え、声を上げていく上での情報共有の場を作ります。

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